LTNS ページ48
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「あれ、どっか行くの？」
『うん、仲良しの先輩が合宿から帰ってくるから』
ドレッサーに向かった私は、ルームメイトの言葉に髪を整えながら返事した。
「わざわざお出迎え？Aちゃん、マメだねえ〜」
『ふふ、マメとかそんなんじゃないよ。私が会いたいだけ』
「え〜、その先輩って誰？」
『…ひみつ』
もう一度鏡に向き直って、色々な角度から髪型を確認する。
完璧。
心の中で呟いて、部屋の扉を開けた。
『行ってきます』
・・・
『おはようございま〜す』
上機嫌にトレーナー室へやってきた私に、トレーナーが目を丸くする。
トレ「あれ、今日のトレーニングってお昼過ぎからだよね？」
『そうですね』
トレ「どうしたの？まだ時間あるけど」
『ふふ、今日はタキオン先輩が帰ってきますから』
トレ「…なるほどね」
私の言葉を聞いたトレーナーがにんまりと口角を上げる。
座りなよ、と手招きされて、トレーナーの向かいの椅子に腰掛けた。
・・・
トレ「じゃあ、今後の方針はこんな感じで」
時間があるからと始めたミーティングも終わり、トレーナーに貰ったお茶を啜る。
夏休みだというのに、グラウンドはトレーニングに来たウマ娘たちで賑わっている。
絶えず聞こえる楽しげな声に耳を傾けていると、私が待ちわびていた音が届いた。
『あっ、バスの音だ…！』
トレ「ええ？聞こえないよ。ウマ娘の聴覚ってすごいね」
耳を忙しなく動かし、身を乗り出すように窓の外を覗く私の後ろ姿に、トレーナーが感嘆の声をあげる。
『私、行ってきます！トレーニング始まるまでには戻りますから！』
トレ「うん、ゆっくりしておいで」
トレーナーの優しい顔を背に、トレーナー室を飛び出した。
次に続きます
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作者名：winter | 作成日時：2022年8月13日 2時
