悪夢 ページ39
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『…ここ、どこ？』
目を開けると、暗闇が辺り一面に広がっていた。
スポットライトが当たるように、私の立つ一点だけが白い光に照らされている。
ぱりん
『何…？』
遠くで、ガラスの割れるような音がした。この暗闇の中に、他に誰かいるのだろうか。
縋るように、歩きだした。
・・・
「うあ、ああ…」
しばらくして聞こえてきたうめき声に、びくりと肩を揺らす。
大好きなヒトの声に似ているような気がして、その声の方へと一目散に駆けだした。
・・・
私が最初立っていた場所のように、スポットライトの当たる点を見つける。
駆け寄ると、見慣れた栗毛のウマ娘が俯いていた。
『せんぱい…？』
「うぅ…」
膝を抱えて座り込むタキオン先輩に声をかけると、苦しそうにうめき声を上げながら顔を上げた。
『っ！？どうしたんですか、その脚！！』
先輩の細い脚はガラスのよう…否、ガラスになっていた。
透き通るそれには幾つものヒビが入っている。
先輩は、愛おしげにも、哀しげにも見える表情で自らの脚を見つめている。
『どうしたんですか…？まさか、実験で』
ぱき、ぱきぱき
先輩に近付こうとして1歩踏み出すと、それに反応するようにヒビが広がり、粉々に散ってしまった。
『ひっ…！先輩、先輩！大丈夫ですか！？』
タ「……た通り………たら、……プランB……」
先輩に私の声は届いていないのか、虚ろな瞳でぶつぶつと呟くだけ。
『先輩、返事してください…！』
先輩の表情とは対称的に、その瞳には光が差している。
光に、光速に、追いつかれてしまったかのように__
きらきらと輝く朱色から、宝石のような涙がひと粒、こぼれ落ちた。
・・・
『…夢？』
次に続きます
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作者名：winter | 作成日時：2022年8月13日 2時
