22．北海道！？ ページ23
１２月の冬。息を吸えば鼻が凍るほど硬い風は、冷たい雪を想起させる。
私と傑は久しぶりに鍛錬をして、終わりがてら近くの大判焼き屋さんへ訪れた。
傑は甘いものを勧んで食べようとはしない。でも、食べようと思えば食べれるらしい。私はつい彼の親切心に甘えてしまった。
｢今日はどうだった？｣
｢動きは早くなった。でも、左を見る癖は抜けてないね｣
｢う。脇が空いたら回し蹴り来ると思うじゃん〜！いきなりバク転しないでよ｣
｢アハハ。でも踵掴んだじゃないか｣
｢まぐれです｣
出来立ての大判焼きを両手に包み、頬張る。胃の中でその存在を感じながら、傑と｢つぶあん派｣｢こしあん派｣について議論する。
そうして他愛ない時間を過ごすうちに食べ終わった傑が、不意に真剣な眼差しに変わった。
｢最近、｢呪いの胎児｣はどう？｣
｢…今のところ外傷はないよ。ただふとした時に力が入らなくなる。感覚は寝起きに近い。｣
それは、できるだけ目を逸らしたい話。でも笑って誤魔化せば催促されるだろうから、比較的真面目な声色で応えた。
｢あー…、寒いね！｣
気まずい空気を濁してそう言うと、傑に右手を掴まれた。その手は彼のジャージのポケットの中へ。彼はトナカイのように赤い鼻で無邪気に笑った。
｢あったかいでしょ。カイロ入れてるから｣
｢う、うん｣
ビックリした。いきなり手を握られた。なんだか最近、傑にペースを乱されている気がする。この距離感は悟と大して変わらないはずだ。でも、傑だと思うと緊張する。
｢そういえば、明日楽しみだね。｣
｢へ、明日？｣
｢……。もしかして、悟たちから何も聞いてない？｣
その問いに首を横に振ると、傑が深いため息を吐いた。
｢明日から３泊４日、北海道に旅行だよ。…明日の午前３時から出発だけど、大丈夫？｣
サッと、血の気が引いたのが分かった。
＿＿＿１２月２２日。北海道にて。
｢っしゃー！蟹食うぞー！！｣
｢…｣
｢オイオイ、調子狂うぜA｣
｢誰のせいだと？｣
あの後急いで寮に戻り、手荷物をまとめてお金を下ろした。おかげで寝不足だ。
2人に言っても、硝子は｢言ってなかったっけ｣ととぼけるし、悟は｢間に合ったならいいじゃん｣と開き直ったので迷わず拳骨を食らわせた。
｢てか寒すぎだろ！｣
｢わ！？｣
悟が容赦なく私のフードの裏に手を突っ込んで暖をとり始めた。距離が近いが、悟相手だと緊張しない。
｢…｣
｢寒いな？夏油。｣
｢まあ。少し｣
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tomishiro(プロフ) - 佝僂さん» はわー！？とっても嬉しいです！おかげで頑張れそうです！ありがとうございます！ (2022年7月13日 11時) (
レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
佝僂(プロフ) - めっちゃ面白いです！！！更新頑張ってください！！ (2022年7月13日 10時) (レス) @page12 id: 1c770a8388 (このIDを非表示/違反報告)
tomishiro(プロフ) - ぜひ評価の方もよろしくお願い致します！ (2022年7月13日 9時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とみしろ | 作成日時：2022年7月7日 20時
