43.キス ページ45
｢ぶっ殺す！！！｣
そう吐き捨てた時、ふと入学前の出来事を思い出した。
私が高専に入れるよう父親の履歴を隠蔽してくれた、
ーーー呪いやすい、もしくは呪われやすい人間には、どんな特徴があると思う？ーーー
ーーー正義を貫く奴だよ。もしくは、矛盾を許さない誠実な人間だ。ーーー
今なら分かる。それは私だ。
私は、非術師を散々殺しながら娘の私を生かし、｢才能があるから｣と言い訳した父を、今でも呪っている。矛盾した父が大っ嫌いだ。
『殺す？無理だ。お前は弱い。五条悟にも言われなかったか？』
｢クソと話す気はない｣
出血多量の傑と、瓦礫に埋もれた悟の応急処置をしなければならない。冥先輩と家入もだ。
私は猿謡から距離を取り、傑を抱き寄せた。微かに息がある。
『どうした、戦わないのか？仲間を叩き潰した目前の男が憎らしくないのか！！A！！！』
猿謡が酷く高揚している。こんなにも血飛沫を撒き散らしておきながら、戦いたいと、殺したいと、雄叫びをあげている。
『
怒りが限界を超え、全身を震わす。
｢
ドゴォン！！！
私を軸として、半径20mの地面が半球に窪んだ。
円周を炎で囲い、私と傑だけを閉じ込めた。
炎に耐性がない猿謡が容易に近づくことはできないだろう。
｢傑！傑！！聞こえる？｣
傑を抱き寄せ、脈を確認する。
…さすが傑だ。呪力は安定しているし、肋は折れても内蔵はやられていない。
ハンカチで顔の汚れを軽く拭き取る。
｢痛いだろうけど我慢して｣
｢…ゔっ！｣
額に手を添え、そこを焼いた。焼灼吐血療法だ。
とはいえ応急処置なので早く冷やさなければならないが、携帯が繋がらない。炎の中だから電波が通じにくいんだ。どうすれば。
｢…！ 蝶々？｣
突然、傑に貸してもらった蝶々の呪霊が目の前に現れた。傑の呪霊は1度しか使えないはず。どうして？
｢"こちら八重A。中村さん。大至急、皆を帳の外へと救出に向かってください。"…伝えてくれる？｣
その言葉を聞くと、蝶々は上へ上へと登っていった。
……腕の中で眠る傑を見やる。
大切な人だ。絶対に死なせない。他の皆も。
｢ごめんね、傑｣
私は傑の額にキスをした。
44.蚊取り線香→←今更！？キャラクター紹介！！※キャラソング含む
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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (
レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか？ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とみしろ x他1人 | 作成日時：2022年6月3日 10時
