13.祓え!! ページ14
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父は私を愛してくれていた。でも、私の友達を酷く毛嫌いした。
非術師の子供を家に招くな。遊ぶな。
身内の者だけにしておきなさい。
その言葉は、むせ返るような夏の匂いと共に、今も頭にこびり付いている。
『私だって非術師だよ、お父さん。』
「お前には立派な才能がある。」
『じゃあ私に才能が無かったら、
お父さんはあの子みたいに嫌った?』
『ねえお父さん、どうして私は』
「ゔぁああああ!!!」
『ギィアアアア!!!』
腕が、髪が、肌が、焼けていく。
痛みを超越したダメージが、傀炎斬の鋭い雨になって襲い来る。
「ア"ア"ぁあああ!!!」
特級の術式が暴走し出して、私の脳内がグチャグチャに掻き回されていく。
記憶がミリオンルーレットのように混乱を始める。
情報処理に追いつけない。
それでも既に百回は失っているであろう意識を、何度も何度も叩き起こす。
どれだけ気絶に耐えてきたと思ってるんだ!
こっちが呪霊になる前に祓ってやる!!
『ッぐぁ、
「ざぜるがァ"あぁああ!!」
祓え、祓え、祓え。
もう二度と、友達を傷つけないために。
「ーー呪霊操術、
「A!!しっかりしろ!!」
「…す、ぐ…、特級…は」
「私が結界内に入ったら領域を解いて逃走したよ。特級とはいえ、まだ戦闘慣れしていなかったようだ。こちらも一か八かだったから助かった。悟達とも今、合流中だ。それより怪我は無いかい?」
「…え、あれ?本当だ、私どうして…」
あれほど食らった斬撃も、火傷の痛みも、まるで夢だったかのようだ。
記憶の一部が欠損していることもない。全て覚えている。
「初任務で、準2級かと思ったら特級で、そのまま戦って…命からがら助かって…」
突然、やさしい温もりに体が包まれた。
それが傑くんの体温だと気づくのに時間がかかる。
「………」
「…………す、傑くん?」
暫し沈黙が流れた後、傑くんはゆっくりと手を解いた。顔が見えない。
「A!傑! 無事か!」
「悟くん!しょう…」
トン、と優しく硝子の額が肩に触れる。
「心配した。帰って来ないかと」
「…ごめんね、ただいま。」
「おかえり。」
「…A」
「悟くんも、迷惑かけたね」
「お前さ…………いや、いい。」
「?」
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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時