・ ページ3
「久しぶり！」
歩道側にある運転席の窓から彼に声を掛けると、彼はなんだか素っ気なく、
櫻「乗って、早く。」
と、反対側の助手席のドアを内側から開けた
「ごめんね、お邪魔します。」
櫻「ベルト平気？出すよ？」
「あ、うん、…」
なんとなく、彼の様子がいつもと違う
チラッと盗み見た横顔も、いつもより唇が尖ってるような……？
「翔くん…？」
櫻「…なに？」
「なんか…怒ってる？」
櫻「…怒ってるってわけじゃないけどさ…」
「うん？」
櫻「ソレ。」
「それ？」
櫻「スカート。短すぎない？」
「んー…そうかな？」
櫻「うん。」
翔くんが…好きそうかなって、思ったのにな…
「あんまり…好きじゃない？」
櫻「好きだけど！でもなんか…そういうの、着て欲しくないっつーか。」
「…っ…」
櫻「なんていうの？ちょっと若い子向けっぽくない？
色も白だしさ、それに、短いし。」
「……」
そんなに怒るとこ？
たかがスカートで？
なんかもう、わけわかんない…
櫻「そんなん履いてるから、さっきだってナンパされんだよ。」
「ナンパなんかじゃ！ただ道を聞かれただけだよ！」
櫻「…そう思ってんのは、Aだけだよ。」
「ホントに違うのに…！」
櫻「…」
「……、」
櫻「……はぁ…。」
「あの、今日は…どこにいくの？」
呆れたように、大きなため息をついた彼に、この雰囲気を変えたくてそう尋ねたら
櫻「飯、食いに行こうと思ったけど…」
「けど？」
櫻「その格好じゃなぁ…
今から場所変えるとなると…はぁ、」
「…っ」
その瞬間、抑えていた感情が堰を切ったように溢れだし、もう、止められなくなっていた
「帰る。」
櫻「はっ？ちょっ…」
「翔くんのバカ！もう知らない！」
櫻「待てって…！Aっ…」
信号待ちの瞬間、横にも後ろにも車がいないことを確認してから車道に降り立った
突然の行動に、翔くんは大きな目を更に大きく見開いてたけど、そんなこと知らない
思わず自分も車から降りようとした翔くんは、後ろから来た車にクラクションを鳴らされて、「あーもう！」と言いながら仕方なく車を出した
自分で降りたくせに、そのまま車を走らせた彼を冷たく感じて、
素直になれないまま、反対車線を走るタクシーに乗り込んだ＿＿＿
続く
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗愛(サラ) | 作成日時：2014年2月7日 10時
