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#064 α×α×α ページ1

「……ごめん。」









私の口から出た言葉は、彼の想いを
受け止めないことを意味した。





「…そうか。」





悲しみを含んだ声色で、噛みしめるように
牛島は呟いた。



腕が解かれ、正面と向き合う。






「今…幸せか?」




「………」






どうだろう…



即答は出来ない。






「…幸せ。」



Aは確かにそう言った。

しかし、それが嘘か、真か
他者には判断できない。








「俺のせいで及川と揉めているなら…しっかり話はつけた方がいい。俺からも説明する。」



「…うん。」






こんな良い人…


__________私には、もったいない。









「…じゃあね。練習頑張って。」




貴方が運命の人と、必ず巡り会えますように…









「あぁ。」






Aは、牛島の横をすり抜けた。

牛島がAを呼び戻すかもしれない一瞬の隙も見せずに…






______________________________________




駆け足で、何処かへ向かうA。



当てもない…目の前には海。






人もいない…あるのは

ポッカリと穴が開いてしまった、自分の心。









「何がしたいんだ…私は…。」









何で、心に穴が開いてしまったのだろう…









____________誰か、教えて…。









その時、背後に気配がした。




_________及川くん…?









「え…?」






__どうして今、及川くんが来たと思ったんだ。









「教授が呼んでるけど…A、

________何で泣いてるんだ?」








「黒尾………」









「オレが嫌だった!?それはゴメンな。
……まぁ、話せることなら話ぐらい聞くけど。大丈夫か?」









__________話してもいいのか。



__________話さない方がいいのか。







涙で濡れた頰が、海風に撫でられる。





「実は……。」









________駄目だ。


________話せない。









「何でもない。」





そう言って、Aは子供みたいに笑った。






_____どうか、バレませんように。






_____バレバレだ。お前のこと、いつも見てんだから、それぐらい分かる。









「そうか、じゃ、戻るか?でもオレちょってサボりたい気分。」



「研磨くんに負けちゃうかもよ。」


「それは有難いな。研磨がんばれー。」


「なにそれ。バカ…。」









勘のいい奴………

#065 α×Ω+α→



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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2015年3月17日 23時

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