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#09 抱擁 ページ9
「良かった…Aが無事で…。」
痛いくらいに抱きしめられた自分の身体。今の状況に頭の整理が追いつかないAは、エースの行動が理解できなかった。
「え…？」
「手、見せろ。」
銃口を抑えた方の手は血塗れだったが、穴はもう無い。
”喰種”の中でも再生力の優れているAの手は、左右とも傷口はもう無くなっていた。
「…悪魔の実の能力者なのか？」
「能力者…？」
”悪魔の実”というワード。度々Aは耳にしていたが、詳しくは知らないその話。
「…あァ。変な実でな、食べると能力を得られるんだ。」
「エースも…能力者？」
「メラメラの実のな。おかげでカナヅチになっちまったけど。」
へらへらと話すエースにつられて、つい笑ってしまうA。
「風呂でも入っとけよ。もう、敵はほとんど倒したからな。」
「…ありがとう。」
まだ乾いていない血を浴びたこの格好で、マルコ隊長やサッチ隊長に出会ったら…何を思われるか分からない。
エースの提案に有り難くのり、Aはシャワールームへと向かった。
残ったエースは、まだ血の匂いが充満するその空間に話しかけた。
「…イゾウか。悪いが…オレにもAのことは分からないんだ。すまねェ。」
背後の何処かに隠れているであろう、イゾウの気配を察知したエース。
深く帽子を被りなおしたせいか、その表情は分からず…
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作者名：色葉怜 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2015年10月17日 19時
