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#08 化物 ページ8

その日から、人が変わったようだった。


Aは船員達に積極的に話しかけて、どんどんみんなと仲良くなった。一方で、雑用の仕事もこなしていて…さすが、という声もナース達から上がっていた。


「面白くなさそうな顔だな、エース。」

「あ?なんだ、マルコか。」

「Aに何か言ったのかよい?人が変わったようだ。」

「ま…ちょっとな。」





サッチと楽しそうに会話を弾ませるレイを遠くから羨ましげに見つめるエース。恋愛ごとには一切の興味がなさそうな弟が見せるジェラシーを微笑ましく思う兄。



「はーあ、つまんねェ。」




ため息ばかりが溢れた。






__________________________________



「海賊が攻めてきたぞーッ!!!」


極たまに、命知らずの男達が白ひげの首を取ろうと攻撃を仕掛けてくる。圧倒的実力の差を覆そうとする輩は、海賊らしい。

しかし、小癪な手を使う者も僅かだが…存在する。



倉庫で片付けをしていたAに銃弾を向ける若い海賊…


「…あちゃ、体が鈍ったな。」


戦いとは程遠く…平和な日々を過ごした結果、後ろにいた気配に気づかなかったのだ。


それに、三週間”食事”をしていないのだ。そりゃ気付かないわけだ。



案外平気そうなAに苛立ったのか、

「俺は女だからといって、甘くみねぇよ…シネッ!!」

銃を向けたが、Aは咄嗟に銃口を塞いで方向を曲げた。

銃弾はあられもない方向へと飛んだか、Aの手のひらを貫通した為、血が吹き出した。




「…き、貴様ッ!」

基地外な行動をとった目の前の女に恐怖を覚える男は、またも銃の引き金をひいた。

カシャッ カシャッ




弾が切れた銃を捨て、腰にあった剣を取り出す男。しかし時既に遅く…


「ひィッ…!」


顔面を血塗れの手で掴まれ、そのままミシミシと音を立てながら、歪んでいく……。


男は最後の抵抗として剣を振り回すが、Aの反対側の手によってしっかりと捕まってしまった。


そして…パァンッ!!!


血飛沫が舞った。頭が破裂したのだ。


霧のような血が、少女を赤く染めた。頰に付着した血を、腕で拭うと…多少は綺麗になった。

しかし、その様子を見ていたものが…。


「A…お前…。」

「エース…!」




Aは咄嗟に後悔した。久しぶりの血で興奮してしまったらしい。

_____これじゃまるで『化け物』だ。

エースに何を言われるのか、と内心怯えていたところ…予想外な反応が。

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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2015年10月17日 19時

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