番外編@02 ページ42
黙々と筋トレを続けるジョズ隊長。
その姿は凛々しく、鎌倉武士の精神を思わせる…まさに漢たる者。
そんな風に黙って特訓を続けていてほしいのだが、いつからか始まった…この特訓。
『能力使わねーから、オレの相手してみろよ！』
例の海賊が襲来して以降、戦闘員ではないAに手合わせを願ってきたエース。
マルコは一度、それを止めたがエースは引かない。Aとしても、例の件をバラされたくはないので、渋々付き合うことに…。
親父は、女を戦闘員として迎えることは一切ないので、戦場にAは立つことはない。それを分かりきっているが、溜め息が漏れる。
それが今日まで、続いているという訳だ。
「はい、火が出たー。」
「あ、悪ィ。もう一回！もう一回やらせてくれ！」
力を入れた瞬間、エースの身体から炎が出るのをAは見逃さない。早くこの特訓から逃れたいのだが、しつこい男だ。
ジョズ隊長を見習ってほしい。ほら、まだ筋トレを続けているじゃないか。
能力者の欠点は、見ていてすぐ分かる。能力を過信している者が多いのだ、特に若い者に。
エースもそうだが、元々の身体スキルが高い為戦闘力が高い。
けれど、所詮”人間”の化け物レベル。
”喰種”の中でも、天才のAには劣る。
「よっと。」
「うわっ！どこ通ってんだよ！」
エースを潜って、背後に回る。けれど、Aからは攻撃をしない。
避ける動作を、エースはAから盗んでいる。
「はい、終わりだよい。」
「やったー、疲れた。」
「え！早いなー！」
実戦形式のこの特訓は、見学している者にとっても糧となる。
海賊でも、逃げる時はある。
「ありがとな！A！」
少しの運動を終えた後、また何かをしだすA。そして、夕食。
Aは、少しの食材を口にしたあと部屋に引きこもるのだ。入浴はナース達と被らない時間に。
宴をしている最中は、狙い目である。
極たまに、
入浴直後にばったり、船員と出くわすことがある。
「…え！？Aちゃん、お風呂上がり！」
サッチとばったり会った時は、何故かガッツポーズを見せられた。はてなを浮かべるAに、おやすみとキメ顔をプラスして。
「A、おやすみ。」
マルコ隊長は、そう言ってくれる。その言葉は丁寧で、聞くと嬉しくなる。
「ふわふわだな！A！」
酔ったエースは何をしでかすか分からない。
こういう場合は、逃げるが勝ちだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：色葉怜 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2015年10月17日 19時
