【東京喰種×ONE PIECE】If I live in another world... (ページ35)

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#035 強奪ページ35

波風で舞い上がる、鮮血の香り。

宙に漂うのは、黒蝶か。

「新しい名前なんて、いらないよ。」

”死神”だとか、つまらない名前などはいらない。屍食鬼という名は、最初は気に入らなかったが…今では愛着がある。

「かーいぐん。弱いね？」

手応えが全くない。単純作業。ただ、銃を撃つだけの脳ナシが大勢いる。

その時、銃や大砲といった金属の武器が空に浮かび上がる。引き寄せられ、向かうのはキッドの右腕。

「…流石だな。白ひげの船に乗っていただけある。」

「雑用だけどね。」

その後は、一瞬だった。キッドの能力で戦機不能になった海軍は負けを認め…船にある積荷を全て奪った。

キッド海賊団の船員達は、恐れを含んだ目でAを見た。最初は、ただの女としか認識していなかったモノが…今では

白ひげ海賊団の”屍食鬼”。

「とんだ宝を手に入れたな、キッド。」

「あァ…手放すには惜しい。」

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深海へと沈んだ2隻の”正義”を背負う船。

やり過ぎだと思うくらい、非道なやり方。11人の悪魔の世代で、最も奨金額が高いだけあるな、と思う。

食事の時間だという彼らに、そっけない返事をするA。とある名前の知らない船員が丁寧に聞いてくる。

「Aさんは、食事をなさらないのですか？」

「食べないから、いらないよ。」

”屍食鬼”だと知っていたから。食事の事も知っていると思ったのだ。しかし、それは早とちりで…。

「やはり”人喰い”の噂は本当なのだな。」

「………！？」

パスタを食べながら、そう呟くキラー。

Aは思わず、二度見した。

「それ…どうなってんの。」

仮面の正面についた小さな穴から、器用にパスタをスルスルと吸い込むキラー。何て方法で…しかし取らないのかよ。

「…ミステリアスなほうが興味が湧くだろう？」

「うん。今にも外したいくらい。」

陽気なキラー。殺戮武人だという噂だが、案外明るい人らしい。

…一方で。

「…？」

真昼間から”赤ワイン”を嗜むキッド船長。ある意味、想像通りというか、そうでも無いような…。

白ひげ海賊団にいた頃に見た、ルーキー達の手配書を脳内に浮かべてしみじみそう思う。

「オマエでも喰えるヤツはないのか？」

「コーヒーがあるなら、大丈夫だよ。」

昼下がりのコーヒーブレイクは…海軍から強奪した高級コーヒー豆で頂く……。