#034 髑髏 ページ34
「A、オマエはどこの船のモンだ？海賊なのは間違いねェだろ。」
屍食鬼だと知っていた彼だったが、それよりも何処の船の者なのかが知りたいらしい。
けれど、Aは言っていいのか迷った。正式な船員ではなく、エースの好意で乗せてもらっただけだからだ。
「…言わなきゃ、ダメかな？」
無言の圧力。男だらけのこの船は、ある意味辛い。色も無いし、華がない。
「…白ひげ。」
「そいつはスゲェな。」
ニヒルな笑みを浮かべるキッドと、驚く船員達。…Aはキッドの言葉を思い出す。”捕虜にしてやる”との言葉を。
「あれは冗談？本気？」
「さァな。ま、適当にしてろ。シャボンディ諸島で降ろしてやる。」
グランドラインのどの航路で進んでも、いづれかは集まるその島。新世代のルーキー達が集う場所。…Aがレイリーと出会った場所である。
父親の居所は、誰も知らない。偶然に出会うか、情報を集めるかの二択。けれど…どうも会う気分では無かった。
母の死を、小さな事…扱いした父とは会いたくないだろう？
______________________________________
たかが”ルーキー”と言えども、海軍には狙われる。それも…ルーキーイチの過激派であるキッド海賊団は、最も警戒すべき相手。
今日もまた、海軍の船が2隻後をつけていた…。
「チッ…またか。」
「邪魔をされる前に、消すべきじゃないか？」
「あァ、そうだな。」
キッドとキラーの作戦会議を終える。他の船員達とはキラーの格が違うらしい。
「A。」
キッドが名前を呼んだ。相変わらず警戒もしないし、女扱いもしないこの男と自分は意外に相性が良いことに気づく。居心地がいいのだ。
「…暴れるか？」
そして、ぶつかる船と船。砲撃を開始しだす海軍の船に飛び込む一輪の花。
赤に艶めく、翼は…天使か悪魔か…。
羽赫から放たれる羽は、次々に海軍に突き刺さっていく。逃げ惑う人々を、追いかけて。
「なッ…アイツはッ！？」
中将クラスらしき男が目を見開く。相当腕があるように見えるが、Aには及ばない。
一瞬の斬撃で、男は真っ二つに。半身からは血が噴き出す。
その一瞬、Aを覆うように黒いベールが見えた。中将がばたりと倒れ、再び海軍の方を向く。…男たちは震え上がった。
赫眼の髑髏…。
仮面も被っていない、顔の肉も削がれていないのに…浮かび上がる。
「し、死神だぁぁぁあ！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：色葉怜 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2015年10月17日 19時
