【東京喰種×ONE PIECE】If I live in another world... (ページ33)

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#033 新生ページ33

……新世代のルーキーである彼に、醜態を晒してしまったのはつい先程の事である。

「…死ぬかと思った。」

”鮮烈の赤”とは、ユースタス・キッドの事。彼の鋭い眼光に恐れたAは、海に逃げようとした。

…けれど、なんてことだ。

『…あわわわわわわわわわッ！！』

カナヅチではなかったのに、いつの間にか泳げなくなってしまったのだ。そして、仮面の男…キラーに助けてもらったのが現在である。

レイとの戦いでボロボロになった服は、海水に濡れびしょびしょに。そのまま砂浜にへたり込む干物女に、キッドは絶句した。

「…恥を知らないのか？オマエは。」

「どこかに忘れてきたんじゃないですかね。ははは。」

キラーは、上着をAに被せた。相変わらずキッドは腕を組んだまま、座り込むAを観察している。

「キッド。船をこちら側に来るよう連絡しておいた。」

「あァ、わかった。」

キラーの手の上のでんでん虫は、感情のない視線をAに向ける。それに気づかないAは、小さくクシャミをした。

「キミは泳げないのか？」

キラーが声をかける。仮面のせいで表情は見えないが、意外に優しい。

「…はい。」

Aが落ち込んだように、見えたのかキラーはフォローする。

「こう見えてキッドもカナヅチだから、安心して。」

「いらねェ事教えんなよ。」

ビキビキと青筋を立てたキッド。キラーを捉えていた視線は、Aに戻る。何かが気になるらしい。

暫くして、キッド海賊団の船員らしき男達が数名やってきた。

船が岩陰の向こうに到着したらしい。これからキッド達は戻るという。

Aは上着をキラーに返そうと呼び止めると、衝撃的な一言が。

「あれ、行かない？」

「…え…？」

「海賊だろ？オマエ。捕虜にしてやる。」

ニヤリと口角を上げたキッド。恐らく、冗談で言ったと思うのだけれど…冗談に聞こえない。

じゃあ行こう、と足を進めるキラーに着いて行く。

船に乗ると、男達が数名集まっていた。その中央にAは立たされる。

キッドは、正面に立つと単刀直入にこう言った。

「”屍食鬼”とは、オマエのことだな？」

トクンと鼓動が脈打つ。目が熱くなる。

一拍おいて、深呼吸してから答える。

「…そうだよ、私はA。」

対面に立つ彼の瞳孔が開いた。興味が湧いたのか、一歩距離が近づく。

圧倒的なプレッシャー。一秒が一秒であると感じれないくらいの重さだ。