#027 惜別 ページ27
「「どうしてだよぉぉおお！！」」
花が咲き乱れるという”フラン島”前にして、船員達は喚き立てる。その中心には、苦笑いを浮かべるA。
何て事だ、イゾウは周りにバラしやがった。
睨みつけても、どこ吹く風というように微笑を浮かべるイゾウ。
「次の島でお別れとか、嘘だよな！？」
「嘘じゃないです。今までありがとうございました…！」
駆け寄ってきたサッチに、ぺこりと挨拶をすれば何やら雄叫びをあげて悔しがり始めた。
「もっと仲良くしたかったよぉお！Aちゃぁあん！」
「「サッチ隊長ォォォオ！！」」
白ひげ海賊団の団結力をまさか、このような形で見ることができるとは…。光栄なのか、そうでないのか。
「その様子だと、親父はもう知ってたみたいだよい。」
呆れた様子のマルコ。
「今までお世話になりました、マルコさん…！」
「オレは何もしてねーよい。」
島に到着。
この船は、一時間でログが溜まるらしい。
白ひげ海賊団との別れは、あと一時間。
その間、思い出話というか…今までの話というか…それらを語った。
__サッチ曰く…初対面は少し怖かったこと。
__マルコ曰く…他の海賊団のスパイと思った事
__ハルタ曰く…絶対ドSだと思ってた事。
皆んなが”予想以上”に、私の事を考えていた事に、心が温まるような気持ちになった。
そして、何より”予想以上”に白ひげ海賊団に馴染んでいたという事を痛感する。
笑いあった、僅かな時間も終わり。
私は船から降りた。
少しずつ、離れていく船。
それをずっと眺める。
さよなら！と叫ぶ声。
ありがとう！と叫ぶ声。
元気でな！と叫ぶ声。
「A！！」
その中で、一際耳に響く声。
熱い炎が舞い上がる。
「お前の父親は”___________”にいる！！！！
そこを目指せッ！！じゃーな！！！」
私は、船の姿が見えなくなるまで
海を見つめていた。
風も止み、日も傾いてきた。
エースの言葉が、頭の中をぐるぐると駆け巡る。…父親の居場所、
レイは今、そこに居るのだ。
……会いたい。
けれど、どうしてエースがそれを知っていたのだろうか。
まさか…わざわざ調べてくれたのか。
エースの優しさが、身に染みる。
思えば、初めて会ったときから優しかった。見ず知らずの私を、船に乗せるために連れてってもらったり、海賊に襲われたときは心配してくれたり。
そんな人に、”真実”を話せなかった。
____次、会えたら。
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作者名：色葉怜 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2015年10月17日 19時
