【東京喰種×ONE PIECE】If I live in another world... (ページ19)

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#019 現実ページ19

『機械化の進んだとある国の話だ。侍という兵士や、忍びというスパイがいた時代から百年がたった時代。とある国の一番、栄えている場所があった…東京だ。』

男は、独特な声色で話し始めた。子供達は一気に静かになり、呼吸音しか聞こえない。付き添いできた筈の親たちも、その男の話に耳を傾け始めた。

『その国…いや、その世界では”人間”を中心に回っていた。この世界は、海王類など強い動物がいるよね？…それらがいないんだ。人間が一番強くて、賢かった。中でも、東京はその世界でも発展していた。』

風が、男の前髪を揺らした。

とある噴水広場は、異様な雰囲気で包まれていた。まだ、海賊団の雑用だったシャンクスは…その雰囲気を怪しく思い、男の声が聞こえる場所に影を潜めた。

『その世界は、一見平和に見えた。人間が頂点だったからね、海賊もいないし。』

(海賊がいない…？一体、何の話だ。)

シャンクスはすっかり、男の話に飲み込まれてしまっていた。

『だけど、それは嘘。人間の上をいく…いや、人間を”食べる”といった方が正しいのかな。そんな”化け物”がいた。』

ごくり、と唾を飲み込んだ音がした。一部の子供達は、恐怖を感じて身をこわばらせたのだ。

『人を食う生き物…彼らは”喰種”と呼ばれた。もちろん、退治しちゃえばいいのだけれど、彼らの見た目は人間そのもの。君達は、人間を殺せるかい？』

首を横にふる子供達。涙を流し始める子もいた。

「おい！シャンクス！一体、どこフラついていたん「静かに」フガッ！！」

シャンクスは、バギーの口を塞いだ。そして、男の話に耳を傾けるようにと、ジェスチャーで伝えた。

『人を食う喰種でも、心がない訳ではないんだ。彼らはずっと、人間になりたかった。人間と同じように、甘いものや辛いもの…暖かい食べ物を囲んで、話し合ったり笑いあったりしたかった。…けれど、彼らはそれが出来なかった。人間が食べる食べ物は、すごく不味くてね。とても食えたもんじゃなかった。…身体が受け付けなかった。…彼らは生まれつき、人間にはなれない運命を背負っていたんだ。』

かわいそうと、呟く子供達。それに軽く笑って、君達は優しいねと男は言った。

「フガッ！！フガッ！」
「あ、悪ィ。」

バギーから手を離し、シャンクスはまた聞き耳を立てた。男の話の中の違和感が拭えない。

妙に、リアリティがある。この男は何者だ。