【黒尾鉄朗】争 奪 戦 。【及川徹】

#08.α×β×Ω ページ9

神無大学には、体育館らしき建物が三つある。



その内の一つは、バレー専用である。

神無大学はバレーの名門であり、日本代表選手のほとんどが神無大学の卒業生である。






「Aって、部活に来たことあったっけ？」




「ないね。断ってたし…」





初めて入るバレー専用の体育館。


中は意外と広くて、ボールが縦横無尽に飛び交っている。



あ、一つ疑問が。



「黒尾はいつ練習してるの？」



「朝とか、まぁ…サボってはない。」



「ふ〜ん…」




すると、黒尾が近くで休憩している子に声をかけた。



「あ、Aさん。」



「…研磨くんもバレーやってたんだ…。」



黒尾の幼馴染の、孤爪研磨くん。


二年の医大生である。





「何で、Aさんを連れてきたの？」




「学園祭の準備。」



「あぁ。」




その学園祭の準備とやらは、まずは宣伝用紙作りから始まるらしい…

しかも仕事はそれだけじゃないと…




「宣伝って、バレー部 VS バレー部の？」



「そう、覚えてるだろ？」




去年、黒尾が見に来てくれ、と言ったので



グラウンドでやっている試合は見た事がある。



けれど見たのは、黒尾が出た一試合だけで

研磨くんも出ていたなんて知らなかった。






「分かった。紙ある？」



「あぁ。」







体育館の二階の観覧席で、練習風景を眺めながら

さらさらと紙に下書きを進める。

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