【黒尾鉄朗】争 奪 戦 。【及川徹】

#017.α×Ω ページ18

「…っ…‼︎」







急に胸を抑えて立ち止まる及川くんの様子が、あまりにも異常だった。








その時…初めて気づいた。






______心拍数の上昇







「…ヒート。」









及川くんは、周りに自分がΩだってことを隠してる。

だから、今バレたら…大変なことなる。





「及川くん！走るよ！」






取り敢えず、人がいないところへ…



薬もある…絶好の場所。



______及川くんと初めて会った場所へ。









______________________________________









「…飲める？」








_____医学部生が主に授業を行う西棟。





あ…一つ疑問がある。


何であの日…及川くんはここにいたんだろう？





「……ありがと、Aちゃん。」





「ねぇ、ハツジョーキは…この前から今の間にあった？」




「…いや、ないよ…」





即効性の薬を飲ませたからか、
徐々に落ち着き始める及川くん。






「よかった…。」



ほっとして、思わず及川くんの前に座り込む。








_____もう少しで、フェロモンの誘惑に負けるところだった…




私だって、αだ。
Ωを本能が必要としてる…





ふと、及川君の顔を見てみると…





「Aちゃん…？」






まだ…瞳は潤いを帯びていて…それに、
頬は紅く色付いている。






______つい、キスしちゃった。






誘惑の残り香が、私を惑わせた。





「ごめん…我慢できなかった…。」








触れていた身体を離して、この場から逃げ出そうとした。


____本能に負けてしまった後悔が、胸に押し寄せる…。


けど、逃げ出せなかった。





いや…逃げ出せなかったんじゃない







「…どっかいくの？」






捕まった。

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