#039.β×α×Ω 2 ページ9
「…徹が…徹が死んじゃう…。」
「ちょっとうるさいよ。」
泣きじゃくる希良梨を、注意するA。
及川は、辛いのか…
Aの手を強く握っている。
「…国見くん、救急車の方は何て言ってた?」
「1時間半かかるって…近くで事故があったらしく、そっちで人手が足りないと…。」
「わかった…、あと…国見くんも近づかない方がいいよ。」
国見は一瞬驚いた。
”Ωだと嘘を付いてたのに…どうして”
その時、インターホンが鳴ると同時に
黒尾が入ってきた。
「…及川!?」
「ヒートと27-FXの合併症状。常備薬が効かないらしい。」
Aが黒尾に説明する。
すると、岩泉が常備薬を黒尾に渡した。
「…なるほど。強い薬なら効くかもしれない。」
「なら…私の鞄に薬あるから、それを飲ませよう。」
即効性の強い薬。
効果が現れるのは、遅くて15分。
その時間は、今までにないくらい…
長い、長い、15分だった。
_________5分
_______________8分
__________________12分
_________________________15分
「……っ!…はぁ…!」
及川の容体は変わらず…
「効果なし…か。」
「これは救急車に頼るほかないですよ。」
「…それまで、待つしかないのかよ…」
「……アタシのせいだぁ…。」
口々にそういう中、黙ったままのA。
「…及川くん。聞こえる?」
ヒートだけでも治まれば…
「………ごめんね、許して………。」
______うなじを噛む行為。
それは、番になる契約の証。
「……A。嘘だろ…?」
黒尾が驚きのあまり、目を見開いている。
「…私…医者失格だ…医者になんてなれないよ。」
及川から、身体を話した。
「…そんなことないよ、Aちゃんはオレを救ってくれたから…
_________ありがとう。」
及川の声を聞いて、岩泉と希良梨は安堵した。
「…徹…ごめんね。」
「どうやって、助けたんだ?」
βの人には分からない…けど
αの黒尾と国見には、さっきの行為の意味が分かる。
「…番になったんだ、二人は。」
岩泉は驚いているが、理解したようだ。一方で…まだ希良梨は分かってないみたいだった。
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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2014年12月31日 22時