#038.β×α×Ω ページ8
「…オマエ、何飲ませた?」
「………27-FXよ。」
キレた岩泉の迫力に、希良梨は涙目になっている。
27-FXとは、摂取量を間違えれば死に至る
精神誘導剤である。
そのため、及川は希良梨に逆らえなかったのだ。
ヒートを止める薬を飲ませても、27-FXの強い効果に阻まれる。
「…オマエは何もすんなよ!クソ川は少し待ってろ!」
岩泉は部屋を飛び出した。
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「及川くん…!」
「どういうことですか?」
Aは、ベッドにいる及川の元へ。
国見は岩泉から状況を聞く。
田畑希良梨は、部屋の隅で泣きじゃくっている。
「及川くん、聞こえる?」
ヒートと、薬の副作用が同時に現れている。
「……国見くん、私の携帯で黒尾呼んで。」
「黒尾さん…ですか?」
「救急車も呼んで、けど来るのは1時間後。ここから病院は離れているから。」
国見は、指示通り動く。
「岩泉くん、冷やせるものやタオル用意できる?」
「あぁ、すぐ用意する。」
その間…田畑希良梨は何もしない。
テーブルの上にある、紅茶の入ったカップをただ見つめている。
「…Aちゃん?」
「そうだよ。」
熱もあるのか…顔が赤い。
ヒートのフェロモンで気を抜くとやられてしまいそうだ。
「ここに置いとく。」
「ありがとう、岩泉くん。」
「黒尾さんから”すぐ行く”って返信来ました。
近くにいたようです。」
「そうなの?じゃあ、救急車より黒尾が先に来るね。」
黒尾が来たあたりで、また薬を飲ませよう。
それが効かなかったら…最終手段だ。
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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2014年12月31日 22時