#063 ページ33
その日の練習は、日本代表メンバーとその他に別れて練習。
牛島をはじめとする日向や影山、天星では木兎、月島は別の場所でバレーをする。
そして、天星のマネージャー数名とA、教授がその場にいた。
一方、日常代表ではない選手達は…各自
練習を続けていた。
午後からは、日本代表チームと練習試合。
嬉しさが心を満たす。
その中に、及川はいた。
彼は、日本代表に相応しい実力を持つが、セッターとしてのポジションは後輩の影山に譲った。
”オレなんかより、飛雄ちゃんの方が上手くやれる”
そう言って、辞退したのだ。そして彼は、弁護士を志しているかたわら、バレーを続けている。
幼馴染の岩泉もそうだ。
”俺はお前以外からのトスなんていらねぇ”
そんな二人には、固い絆が存在している。つまり、お互いの変化はすぐに察知できる。
「…やばいな。」
異常に高い集中力を発揮している及川を見て、思わず岩泉は呟いた。
あの状態の及川は、相当キレている。
午後の試合が…どうなることか。
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午後になり、練習試合。
日本代表メンバーが練習していた体育館に、それ以外の大勢の選手達が入場する。
「…教授。私、出ますね。」
「え?あ、見ないの?Aさん。」
「……やらなければならないことをし忘れてましたので。」
Aは及川の姿が、見える前に出入り口から逃げようとした。
…別に避けてるわけじゃない。
…今は顔も、声も、
見たくないし、聞きたくないのだ。
目線を下ろして、早足で外へ飛び出した。
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早足で、しかも下ばかりを見ていたせいで…
前から来る人物に気付かなかった。
「ごめんなさい…!」
「そんなに慌てて、どこへ行くんだ?」
「え、…あ。」
顔を上げると、そこに居たのは”若利”だった。
「…試合、観ないのか?」
「…うん。だって、やることが_______。」
それ以上、言葉が出てこなかった。
「…もう一度、俺にチャンスをくれないか…?」
美化された過去の、大きな安心に優しく包まれ
…それに身を任せてしまった。
……駄目だ。
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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2014年12月31日 22時