#062 α vs Ω ページ32
__________昨晩のこと。
ベッドの上で、最初は静かに話し合うだけだった。
「まだ好きなの?」
その一言が、Aの顔を歪ませた。
「好きだったら、ここにいないよ。」
そこで、終われば良かったものの…
「さぁ、どうだか。」
巨大な不安感を抱える及川は、そのストレスをAにぶつけてしまった。
「…何がいいたいの?」
いつの間にか掴まれていたAの腕が、赤くなる。
「Aはオレの彼女なのに…他の男とばっかり話す。
それってさ、オレのこと嫌いだからでしょ?
番になったのは、人を助けたいだけの良心。
その時どうすればいいか分からなかったからで…それがなきゃ、オレと番になりたくなかっただろ?
大体……
初対面の男と寝るような女のことなんて信じられないんだよ…。」
今…何て言ってしまったんだろう…
そう、及川が後悔してももう遅い。
「それを言うならね…徹だって”女なら誰でもいい”とか思ってんでしょ?
だから…初対面の女とも簡単に寝られる…
他の男とばかり話す…?
徹はファンの子達に愛想を振りまいてるのに、何様のつもり?
それにね、好きじゃなきゃ番になんてならない…そんな簡単なことも分からないの?」
お互いの言葉の弾丸を浴びる二人。
そして、黙ったままの及川。
「…もういい。」
そのまま、及川の手を振り払って
Aは部屋を飛び出した。
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「…来た。」
食堂にいる全員が、急にざわめき始める。
_______________牛島若利が来たのだ。
「練習は1時間後か?」
「うん。でも、日本代表メンバーは別メニューとかかもね。」
「そうか。」
牛島は、随分と親しい様子でAと話している。それを、天星のマネージャー達や選手達は黙って見ている。
「なぁ、及川。どういうことだ?これ。」
こそっと黒尾が、及川の元へやって来た。
「…オレへの当て付けじゃない?」
「当て付けって…、いいのかよ?」
「良いわけないに決まってる。」
ふて腐れた及川。そこへ、孤爪がやってきた。
「…あの二人、喧嘩別れじゃないの?」
及川は無言で頷く。すると、もしかして…と孤爪は呟いた。
「…なんか、わかったのか?」
「うん、予想だけど。あの人、Aさんのこと諦めてない。」
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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2014年12月31日 22時