【東京喰種】水面下の薔薇【原作沿い】 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:23,780 hit

#009 情報ページ9

______嘉納総合病院

随分立派な建物に、あの胡散臭い医師はいるらしい。

マスコミはいないようだが、患者はいる。
Aは見舞客のように、病院内を探索する。

「こんにちわ、お見舞いですか？」

看護師から、声をかけられる。

「はい、鉄骨の下敷きになったって聞いて驚いて。」

「あら、金木さんの友達？金木さんの部屋なら_____」

「ありがとうございます。迷っていたので、助かりました。」

この看護師も、アホだ。
個人情報も無いも同然。少しは怪しいと思わないのか。

そして、思わぬ収穫。
男の名前は、”金木”。

看護師と別れ、その部屋へ進む。大部屋ではない、その部屋。コンコンとノックをして、開けるドア。

「…！？」

「金木さんですか？少し、お話があります。」

「は、はぁ…。」

「ここではアレなので、外へ行きましょう。」

黒髪、細身、色白、若さ、全てが利世のストライクゾーンに当てはまる、中々の美形。しかし、性格が人見知りなのか草食系というのか、弱い感じがする。

扉を開け、金木が外へ出るとき…ふわっと香る。

______”利世”？

確かに、利世の香り。そこで確信が深まる。

___金木は、利世の臓器を移植された。

______________________________________

病院の庭へ移動。年寄りや子供ばかりで、話を盗み聞きするような奴はいない。

Aは金木を座らせた。

「私は利世のルームメイト。でも”喰種”じゃない。」

「…利世さんの！？」

あからさまに怯える金木に、落ち着いてと促すA。そして、Aは私があたかも人間であるように話す。

「利世はね、どうしてか私を食べなかった。理由は分からないけど。それで、金木さん。利世とあの日、何があったの？」

単刀直入に聞くと、金木は黙った。
話したくないのか、思い出したくないのか。

「…やっぱり話さなくていいわ。利世がすることだから、予想はできる。」

Aは金木の理解者のように振る舞った。こういう時には、敵にならない方がいい。

「…貴女は誰ですか？」

「私？あ、名前言ってなかったね。私はAA。普通の大学生だよ。」

ニッコリ笑って答えるA。その嘘の微笑みに騙される金木。女慣れしていないんだろうなと、ほくそ笑む。利世はさぞかし楽しんでいただろうな。