【東京喰種】水面下の薔薇【原作沿い】 (ページ8)

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#008 異変ページ8

帰宅したら、もう朝。

一睡もせずに大学へ行かなければいけない憂鬱を抱え、テレビをつけた。

画面に映る文字
”医師独断の臓器移植問われる”命”の責任”

記者が問い詰める。

『少女に臓器提供の意思はあったんですか！？遺族への確認はありましたか！？彼女は見殺しですか！？医者なら死力を尽くすべきでは！？」

弾丸を浴びるような質問を受けた医師は、冷静に答える。

『彼女は搬送された時点で死亡が確認されていました……即死だったものと思われます…_____目の前の命を救う事こそ医師としての私の使命だと考え、今回の決断を致しました。』

一瞬のニュースに釘付けになるA。

そして、悪寒がAを襲う。少女とは…もしや、”利世”のことでは…？

それから、Aはスマートフォンでこのニュースについて、調べ始めた。大学なんて、今日くらい休んだって構わない。

ようやく、知り得た事実。

”鉄骨が落下し、そこにいた男女にぶつかった”と。

場所は、高田ビル通り付近。

「……嘘…でしょ…？」

言葉が思わず、溢れた。けれど、事実に確信した。

利世は、殺された。

鉄骨が自然に落下し、2人も怪我をさせるなんてない。それに、場所的にもありえない。

28日に喰種による事件があった付近に、まず一般人は近づかないからだ。おそらく、利世は標的にしていた男を喰べようと思った。けれど、何らかの原因で、二人もろとも鉄骨の下敷きになった。

利世に襲われていた男が、実は仲間を呼んでいたとしたら…？それは、ありえない。
何故なら、鉄骨の下敷きにされて助かるという保証はないからだ。だから、仲間ではない。
それに、男は人間。利世は共食いはしない。

なら、どうして…。
考えるも何も、分からない。
何故なら、Aは利世の過去を知らないからだ。

そして、決意をする。

この独断で臓器移植をした医師…

嘉納に会いに行く…と。

「…あ、そういえば。」

あの白髪の男に、利世のことを聞くの忘れたな。

まぁ、いいか。
利世と関わりがあるのか見えないし…何より、
アオギリの樹とは近付きたくない。

隻眼の梟やら、隻眼の王やら…。

黙って、俗世間に馴染んで生きていけばいいものを。どうして、わざわざ離れるのか。

全く、理由がどうあれ、馬鹿だ。