週末のリビング*s.o ページ1
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私達が住んでいるのは、ごく一般的な五階建てのマンションである。
智くんが「日当たりがよくないと俺死んじゃう」と、謎の脅迫にも似たことを言うから、日当たり良好で、収納が多い(これは私の希望)駅から少し離れた3LDKを購入した。
「……ちょっと、邪魔なんですが智さん」
掃除機片手に、智くんを見下ろす。
「ん？気持ちいいよ、ここ」
１番よく日が当たるリビングの窓の近くで、「ほれ」と手招きをする。
確かに、すごく気持ちよさそう。絶対いい。
「いやいや、掃除中だし、洗濯物もあるし」
いけない。この間だって誘惑に負けて掃除を後回しにして、洗濯物を干したのは午後になってからだった。
今回こそ負けてたまるか。
共働きだから、掃除は週末にやらないと誰もやらない。しかも、明日は雨。今日やらないと。
「A、おいで？」
甘く、優しく、彼が腕を広げる。
この人、私がこれに弱いってわかってる。
「ずるいよ」
「何が？」
「わかってるでしょ」
んふふ、って笑うこの人にいつも敵わない。
「しょうがない。今週だけ、今週だけ…」
呪文のように唱える私が面白かったのか、方を震わせて堪えてる。ムカつく。軽く肩にパンチをお見舞いして、智くんに抱きついた。
「重い…」
「うるさい。今日カキフライにしようと思ってたけどやめようかな」
「やだ、それは困る」
ごろんと横になる。こういう時、智くんは必ずといっていいくらい腕枕してくれる。優しい。
前に「痛かったら止めていいんだよ」っと言ったことがあるけど、やりたいらしい。結婚してからも女の子扱いしてくれるところが好き。
智くんの腕が痛くならないように、近くにあったクッションを引っ張ってくる。
「なんか、懐かしくない？この感じ」
きっと、あの日のことだ。
「あの時は不意討ちでびっくりしたんだからね」
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作者名：からあげ | 作成日時：2019年10月4日 16時
