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「うーん、どれにしよう…」
目の前には私が一生働いても買えないような髪飾りばかり。色んな初めてを経験させてくれるばぁう様に感謝だ。
ぐるりと店内を見渡す。すると一際目立っている髪飾りを発見した。
「あっ、これ……」
「何？いいのあった？」
「あったんですけどえっと…」
「ん？」
「この薔薇のバレッタ、赤色は無いのかなって…」
私は青色の薔薇の装飾が施されてるバレッタを指差して言う。ばぁうくんはふっと笑い、店主を呼んだ。
「このバレッタって赤もある？」
「もちろんございます。店の奥から赤色を持ってくるので少々お待ちください」
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「こちらでございます」
店員さんは高級そうな箱を開けて私達に見せる。中には私がイメージしてた通りのバレッタが入っていた。
「お前、これでいい？」
「はい…！」
「ん、じゃあ払っといて」
ばぁう様はいつの間にか後ろにたってた家来に命じた。2人っきりだと思ってたら家来が遠くから着いてたんだ…。変な言動はしてないか私の行動を思い出す。……うん、大丈夫だったことにしよう。
「……A」
「ばぁう様………ぁっ、」
私が変なこと考えてるその時だった。ばぁう様の優しい声色が聞こえたと思ったら私はいつの間にかばぁう様の胸の中にいた。トクントクンとばぁう様の心音が耳に優しい。
「……ん、出来た」
「これ…」
近くにあった鏡に映る自分の姿を見て私は思わず声を漏らす。今日はハーフアップにしてあったため、ばぁう様は買ったばかりのバレッタを私に着けてくれた。嬉しくて胸が高鳴る。
「…可愛い」
「ん？あぁ、このバレッタ可愛いですよね！」
「うーん、そのバレッタのことじゃないんだけどなぁー」
「？」
「まぁ、いいや。そろそろ家に帰るぞ」
「あ、はい！」
ばぁう様のその合図で私たちは帰路についた。私はなんでか分からなかったがそれからの数日間ばぁう様のご機嫌取りに付き合わされた。ほんとに何故…？
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作者名：なゆた | 作成日時：2023年3月4日 21時
