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コンコン。私はばぁう様の部屋の扉をノックする。どうぞー、と扉越しに声が聞こえ、私は恐る恐る開ける。
「し、失礼します…」
「ははっ、そんなに畏まらないでもいいのに」
「いえいえ、私はばぁう様に買われた身なので」
「そっか。……おいで」
ばぁう様はベッドに腰掛け、隣のスペースをトントンと叩く。私は言われるままにばぁう様の隣に座る。
「なんで呼ばれたか分かる？」
王子様と奴_隷の身分でも所詮男と女。夜に呼び出したってことはつまりそういうことだろう。
「ばぁう様、私……！」
今まで色んな人の奴_隷になったが夜伽の経験だけはまだだった。怖くて手足が震える。
「……大丈夫だから目を瞑って」
「…っん」
私はばぁう様に言われた通りキュッと目を瞑る。衣擦れの音が聞こえ、ばぁう様が私に触れてるのが分かる。しばらくして「目、開けていいよ」と声が聞こえ、恐る恐る開ける。
「…え、これって」
「…チョーカー。お前に似合うと思って」
私は自分の首のチョーカーを触る。ご主人様からプレゼントされた経験が無かったから私の気分は紅潮していた。
「このチョーカーね、鍵がないと外れないの。…ﾀﾋぬまで俺のものになっちゃったね、お前」
「……それでも嬉しいです」
一生一緒に居られる。今までの主人は私が使えなくなってたら売るの繰り返しだったしそれだけで私は嬉しかった。
「…他の奴に愛想振り撒いたら捨てるからな」
「そんなことしません。…ばぁう様だけです」
「なら良いけど」
この国にはばぁう様の他に4人の王子様がいる。ばぁう様はそのことを言っているのだろう。私にはばぁう様しか居ないのに。
「もう寝るか」
「そう、ですね。では私はこれで」
「は？何言ってんの。お前もここで寝るんだよ」
ばぁう様はそう言って無理やり私をベッドに連れ込んだ。その日は一睡も出来なかった。
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作者名：なゆた | 作成日時：2023年3月4日 21時
