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「ふぅ…」
チャポンと湯船に浸かる。何故か私はばぁう様に買われた後、宮殿に来て大きなお風呂に1人で浸かっていた。暖かいお風呂に入るの久しぶりだからめちゃくちゃ嬉しい。
「湯加減はどうですか?」
「あ、調度良い感じです」
「それは良かったです。では後ゆっくり…」
女中さんはそう言って風呂場を後にしていった。それにしてもなんで奴_隷にここまでしてくれるんだろう…。ばぁう様は今まで会ったご主人様の中でも身分は高いのに優しくてびっくりする。
「……そろそろ上がろうかな」
私は立ち上がって脱衣所へと向かう。脱衣所にも女中が待ち構えててびっくりした。
「失礼します。採寸しますね」
「え?」
私は言われるがまま採寸が終わるのを待つ。採寸後、予め用意された服に腕を通して身なりを整える。
「終わったー?」
ピョコッとばぁう様が顔を出す。さっきとは見違えるほど綺麗になった私を見てばぁう様は満足そうに頷く。
「あー、そういえばお前の名前は?」
「名前?」
「そう、呼び名がなかったら不便でしょ」
「名前は……無いです」
この世に生を受けた時は勿論名前があった。しかし、奴_隷になってから長い年月が立ち、遂に自分の名前までも忘れてしまったのだ。
「そっか。…うーん、………Aっていうのはどう?」
「A……嬉しいです、ばぁう様がお名前付けて下さるなんて…!」
「ははっ、そんなオーバーリアクションなんかしなくていいよ。新しいご主人様に気に入ってもらおうと必死なんだろうけどそんなんじゃ気に入らないよ、俺」
「……っ、」
オーバーリアクションをとってるつもりは無いが奴_隷としてある程度快適に過ごすために学んだ答えが"ご主人に気に入ってもらう"ということだったから無意識に出ていたのだろう。私は図星をつかれ、言葉に詰まってしまった。
「…今日の夜、俺の部屋においで。お前が知らないこといっぱい教えてあげる」
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作者名:なゆた | 作成日時:2023年3月4日 21時