【文豪ストレイドッグス】人形劇と海の星

第37幕 ページ39

「やあ、お帰りNo.3」

「ボス、只今帰りました。ご迷惑をお掛けしました」

「No.3ーー！心配したわ！どこ行ってたの？」

首領の部屋に入ると、エリスが飛びついてくる。

「申し訳ございませんでした、エリス嬢。私はーー」

「No.3？」

「どうしたのかな？」

「いえ、何でもございません」

何処に行っていたんだっけ。

そういえば、ここ最近の記憶がない。

いや、違う。

最近は戦闘の傷で寝込んでいたんだった。

そうそう、さっきも中原幹部にお見舞いに来てもらったんだっけ？

「私は最近医務室で休んでいました。遊べなくて御免なさい」

「そうなの！大丈夫？」

「ええ、もうすっかり」

森はデスクの上で指を組んだ。

今彼女に両親のことを聞いたら何と答えるだろうか。

私が指示した通りに進んでいれば、

ーー私は捨てられていたところを拾われて来たんです。

と答えるのだろう。

No.3は背後で笑う首領に気づかない。

書き換えられて、失われていく記憶。

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