86*英国紳士。 ページ6
メモ用紙に乗り換えやら料金やらをメモして、急いでイケメンの元に戻る。
「あっ、座ったままで大丈夫ですよ」
サッと席を立とうとしてくれた。…ジェントルマン。
パンツスーツだったし、しゃがんでイケメンをしたから見上げる。
すごい、どの角度から見ても完璧。
「だいたい2時間くらいあれば着くかと思います。一応こちらに書いておいたので…」
彼の白くて綺麗な手ににメモをそっと載せると、食い入るように見つめてる。
…大丈夫、ペン習字の本をわざわざ買ったんだから、
そんなに字は汚くないはず。
一応フリガナも振っておいたし…
と、思ったら、
「助かります、ありがとうございます！」
満面の笑顔で、私に向かって微笑んだ。
「いえ、全然大丈夫です！」
その笑顔があんまり眩しいから、
思わずドギマギしてしまった。
「漢字、読めないからこういうの嬉しいです」
私が小さく振ったフリガナを指差して、イケメンがにっこり笑う。
「よかったです」
そう言ってもらえると、仕事してて良かったって思えるから。
…今日はいい気分で眠れる気がする。
「今日は、どちらからの便ですか？」
うちの飛行機かな、ってちょっと気になったから聞いてみる。
「イギリスからです。小さな町に住んでたから、乗り継ぎ二回もあって」
「それは、お疲れ様でした」
「でも、向こうのはひどいけど、この便は快適でした」
「ありがとうございます」
最終的にいい感じにまとめてくれる、さすがはイギリス仕込みのジェントルマン。
「僕、日本の大学に編入するんです」
イケメンはその笑顔のまま朗らかに喋る。
「そうなんですね」
「だけど、初めての一人暮らしだから緊張してて」
彼はグシャ、って髪の毛をかくと、はは…って笑った。
「大丈夫です、きっと」
久しぶりに日本に帰ってきて、ひとり暮らしをして、楽しそうな人を知ってるから。
それに人を幸せにしちゃう魔法を持ってる人を知ってるから。
多分この笑顔が素敵な彼も、きっと人のことを幸せにできるはず。
「…ありがとうございます。急に変なこと言って、ごめんなさい」
「いえいえ、頑張ってくださいね」
「頑張ります」
「行ってらっしゃいませ」
イケメンはぺこり、と頭を下げると、
スーツケースを引いて颯爽と歩いていく。
え？彼が歩くと風が吹くの？ってくらい、爽やかすぎるオーラが出てて、
修学旅行生の女の子たちが彼の背中を見て、コソコソ…って話をしてるのが見えた。
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はりはり(プロフ) - 続き待ってますっ！ (2021年1月7日 22時) (
レス) id: 52ba9d7a4c (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - さわさん» さわさん、コメントありがとうございます♪ ゆったりした雰囲気が好き、と言っていただけるのがとても嬉しいです！私もお近づきになりたいです…理想が詰まってます笑 これからも気長にお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年8月9日 23時) (レス) id: ede626204f (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 初めて感想書かせていただきます。ゆったりとした時間の流れが心地良く読ませていただいてます。いいなー。私もこの大野さんと近づきたい…。瑠夢さんのペースで、書き進めてください。のんびり楽しみに待ってますね (2020年8月3日 2時) (レス) id: ce4d4ad581 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年8月3日 0時
