59*泡。 ページ19
「こんばんはー」
ねじりハチマキを巻いた、ちょっとコワモテな店主さんだけど、
智さんはのんびりと声を掛ける。
「二人、いけますかぁ？」
「ちょっと待ってて」
「はーい」
智さんがニコって笑うと、さっきまでコワモテだった店主さんの顔が少しだけ緩んだ。
やっぱりこの人は、人の心を知らないうちにほぐしてしまう、特殊能力を持ってるのかもしれない。
・
・
「良かったね、入れて」
人気店だから席は結構埋まってたけど、
私と智さんは運よくボックス席に通してもらえた。
上着を脱いで、荷物を置いて、
私の正面に、智さんがストン、っと腰を下ろした。
「とりあえずビール」
私が飲み物のメニューを渡す前に、智さんがおしぼりでキレイに手を拭きながら言う。
「あ、今の、もしかしてオヤジっぽい？」
「えっと…ちょっとだけ…？」
「うわぁ、マジかぁ」
まだ25なのにぃ、って智さんは口を尖らせた。
いつも通りレモンサワーを飲もうかな、って思ったけど、
やっぱり餃子にはビールだよなぁ、って思い直して、私もビールと、焼き餃子を頼んだ。
「Aちゃんも家借りる時こんな感じだったぁ？」
さっきもらった資料を読みながら、智さんが私の方を見上げる。
「はい…マンションだったのと、私はずっと日本暮らしなので、違いはあるんですけど、手続きは大体同じです」
「そっかぁ、おれ全然わかんねぇから、Aちゃん居てくれて安心！」
智さんがアハっと笑う。
居てくれて安心、っていう言葉だけで、私はいとも簡単に舞い上がってしまうんだ。
「所得ナントカ…とかはボブに任せちゃえ」
智さんは早速、ボブさんに連絡したみたい。
ボブさん、日本のホテルの手配もできちゃうし、智さんの所得の管理もしてるし、
一体何者なんだろう。
しかもムキムキのゴリゴリだし。
…まあそれは関係ないんだけど。
「一日ありがとねぇ、かんぱーい」
キンキンに冷えたビールのジョッキをカチン、っと合わせる。
「うまぁ」
プハーってビールを一気に飲む智さんはCMみたいで、思わずクスっと笑ってしまった。
「えっ、おれ変？」
智さんが、目をクリンと丸くする。
「いや、CMみたいだなぁ、って思っちゃって」
「美味しそうでしょ？」
んふふ、って智さんは少し得意げに笑った。
「あ、でもAちゃんこそ」
「え…？」
智さんの顔が、急に私にググッと近づいて、
「鼻に、泡ついてるよぉ？」
キレイな指が、私の鼻にチョン、っと触れた。
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璃夢(プロフ) - みっきさん» みっきさん、コメントありがとうございます。智さんのほんわかと優しさ、感じていただけて嬉しいです。私も書きながら癒しのパワーをもらってます笑 これからもどうぞよろしくお願いいたします♪ (2020年6月10日 0時) (
レス) id: 7d2e6a298f (このIDを非表示/違反報告)
みっき(プロフ) - 初めまして(^^)いつも楽しみに読ませていただいてます♪智くんのほんわかと優しい癒しオーラを感じて毎回読み終わったらほっこりしてます。次回更新も楽しみに待ってますね♪ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 0364fca5be (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - かえるさん» かえるさん、コメントありがとうございます。お話楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪青い鳥の開設、今準備中なので、用意が出来たらすぐにお知らせしますね^ ^ これからもよろしくお願いします！ (2020年5月31日 0時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！！差し支えなければ、智さんの新しいお家の見取り図が見てみたいです(^^) (2020年5月23日 1時) (レス) id: a9f7041f7f (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ゆうにゃんさん» ゆうにゃんさん、コメントありがとうございます♪ ドキドキしていただけて、とっても嬉しいです。これからもどうぞ宜しくお願いします！ (2020年5月20日 9時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年5月17日 22時
