検索窓
今日:30 hit、昨日:23 hit、合計:28,335 hit

50 気づかないこと ページ9

「家にあった処方薬も見た。そんなに追い詰められてだなんて知らなかった。バイト中に倒れた話も。」




全身からひゅっと。血の気が引く。ばれた。

そうだ。他に人は入らないからと薬の袋をそのまま机に出しっぱなしにしていた。






ここで「ごめんなさい」といつものわたしだったら謝ったのかもしれない。






でも。









「知らなかった⋯⋯? あの頃わたし、ご飯が食べれなくて5キロ痩せたんです。バイト先の人たちはわたしが倒れる前からちゃんとご飯を食べてるか、心配して声をかけてくれるくらいだった。なのにユンギさんは、そんなことにも気づきませんでしたか?」

「⋯⋯言われなかったから気づかなかったおれが悪いって言いたいのか? それはキムジョンユと比べてんの?」




うまく舌は回っていなかった。


ユンギさんと言い合うなんて、初めてだった。ぎゅっと布団の上で握った拳に力が入る。


もう、2年も付き合っていたのに。こんなことくらいに、ものすごく勇気がいる。






どちらが少し不満をぶつけても、それに反論することなんてなかった。どちらも事勿れ主義で。



「分かった」「ごめん」「自分が悪かった」それでいつも話は終わった。









「そう言うわけじゃないです。聞いてくれたのは1人だけじゃなかったですし。」



もちろんジョンユくんも「最近痩せましたか?」と心配そうに声をかけてきたけど、店長や、パートさんも「ちゃんと食べてる?」「まかない今日もいらないの? 痩せすぎてる」

優しさに、逆に心が痛かった時期だった。





「でもそのくらい気づくタイミングも、言わずとも見た目に見える変化も、あったんです。恋人が病的に痩せて、ただの仕事仲間が分かるような変化にも何も感じない恋人にそれ以上かけられる言葉がありますか?」

51 そうじゃなくて→←49 他人事



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1585人がお気に入り
設定タグ:BTS , SUGA , ユンギ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

苺あめ(プロフ) - 毎回楽しみでした。彼女とユンギの出会いが気になりました。一度無くした信頼はなかなか取り戻せないですよね。でも『続く』ってなってたので、また物語が始まるのを期待してます。 (2月7日 11時) (レス) @page20 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しろい | 作成日時:2024年1月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。