45 一人称 ページ4
「行くって、⋯⋯どこに?」
「分からない。ここには目印になるものが何もないから。でも、探すの。ずっと、ずっと、殺されたヒトを。ただ当てずっぽうにあるいて。」
「殺された人⋯⋯?」
歩く夢。なんで歩いているのか、分からなかった。けど。
それが理由?
「怖がることないよ。Aだって殺されたから、死んでるもん」
一瞬。わたしはジョンユくんになぐられて、そのまま死んだのかと思った。
けどその“A”がわたしを指すのではなく、その子の一人称であることはなんと無くだけど、分かった。
でも、それだったら、死んでる? そんな筈ない。目の前にいる“わたし”は、多分6歳か、7歳ころのわたしだ。そういえば、その歳の頃、わたしは一人称が自分の名前だったことを思い出した。
その年齢の時のわたしが殺されているなら、今のわたしはいない筈。
でも、冗談や嘘を言っているようには見えなかった。
「誰に⋯⋯殺されたの?」
“わたし”が、少しだけ、眼を伏せた。
そして、ぴ。と人差し指をさして。
ゆっくりと。その唇が動く。
「あなた」
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苺あめ(プロフ) - 毎回楽しみでした。彼女とユンギの出会いが気になりました。一度無くした信頼はなかなか取り戻せないですよね。でも『続く』ってなってたので、また物語が始まるのを期待してます。 (2月7日 11時) (レス) @page20 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろい | 作成日時:2024年1月19日 22時