家政夫のキタ ページ5
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北信介が電話で呼ばれてバイト先に来てみれば、紹介所の自分の雇用主に新たな鍵を渡された。恐らく、次の顧客なのだろう。
「若い一人暮らしの女の子の家ね。今日から二週間お願いできるかい?」
「女の子て……中田さん、おばちゃん達じゃないん?」
「それが人手が足りんくてねェ。その子が誰でもいいいうから、北くんにお願いしようと思ったんやけどなぁ」
北は次の家主の貞操観念を若干疑いながらも鍵を受け取る。雇われている側の人間が文句を言うのは間違っていると思ったからだ。
北はそれ以上何も言うことなく、その鍵を無くさないようカバンの中にあるジップロックへと仕舞う。中田はニッコリ笑うと北に次の家への地図を書いたメモ帳を渡してきた。
「このマンションの3階か、若い女の子言うてたけど…結構ええとこ住んでんなぁ」
北が地図を頼りに訪れたのは家政婦紹介所から歩いて20分程の距離にあるマンション。新築では無いが、それなりに清潔感のある見た目だった。果たして、そんな所に一人暮らしをし家政婦を雇う余裕のある若い女子とは――――
北は様々な憶測を飛ばしながらエレベーターで三階へと上がる。教えられた部屋の前に立ち、鍵を差し込んで捻る。当然のようにドアは音を立てて開いた。他人事だが、なんと物騒な。
「お邪魔します」
中に人がいないのは知っているが、北はいつもキチンと挨拶をする。挨拶は人間の最低限の礼儀でありマナーである。それを怠ることは、人間としても怠っている証拠だ。
ガチャ、と空いた重い扉を開ければ。玄関には目を疑うような物が落ちていた。北は光のような速さで扉を閉める。――――なんだあれは。
「な、なんで玄関にブラジャーが落ちとんのや……!!」
北はどうしようかと頭を抱えた。自分は雇われの身、仕事を怠ることは出来ない。しかし、あれを触れとなるとこちらとしてもどうすれば良いのか分からない。
そもそも、北が女子の下着を生で見たのはこれが初めての事だった。それゆえ、どうしたらいいのかが本当に分からない。
「アカン、誰かに聞かへんと」
北は慌ててスマホを取り出すと、自らの記憶の中で一番女慣れしてそうな連絡先を探す。このまま仕事が出来ないのも、金を払ってくれる家主に失礼だ。そして、中を見る限りこの家はかなりゴミ屋敷らしかったので北自身、早く掃除をしたかった。
数回コール音がなれば、陽気な返事が聞こえる。北はそんな相手のことなどお構い無しでこう叫んだ。
「なぁ、侑…!!女の子のブラジャー男が触ったら犯罪になるんか……!?」
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赤羽 - 好きです。最高 (4月12日 23時) (
レス) @page45 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 今まで読んだ作品のなかで一番の作品でした！完結まで書いてくださり、ありがとうございました！ (12月17日 18時) (レス) @page45 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
rin - めっちゃ好きです (9月12日 21時) (レス) @page45 id: 452f9d3433 (このIDを非表示/違反報告)
朝ごはん(プロフ) - 最高です。 (2022年1月10日 1時) (レス) @page45 id: 9242d0adf9 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 素敵なお話で、一気に読んでしまいました！心が温まりました。 (2020年11月5日 21時) (レス) id: 92da2ec8b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴいち | 作成日時：2020年2月10日 23時
