ブラック企業 ページ4
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中田家政婦紹介所に寄って会社に着いたのは8:10。今日も今日とて満員電車に揺られ、来たくもない地獄へと足を踏み入れたのだ。
高卒で中々の大手に就職したのはいいものの、そこは俗に言うブラック企業で。セクハラパワハラなんのその。仕事の量にそぐわない給料、おまけに残業・休日出勤など、社会人が望まない生活ナンバーワンのような生活を送っていたA。
「おう、中谷。おはよう」
「おはようございます、課長」
そして、そんなAの今一番殺したい人間ナンバーワンは重役出勤をかましまくる課長。今朝も挨拶代わりというように、隈を携えながらにこやかに会釈するAの尻を触っていった。
何しとんじゃテメェコラ、と心の中でメンチを切りながらAは大人しくデスクにつく。
世の中の社会人も、皆これに耐えているのだ。お金を貰っている分、Aに我儘を言う権利はない。大人しく耐えていれば、いずれ自分もそこから抜け出せる日が来るだろう。
――――果たして、それまで生きていられるかは疑問だが。
そんなAなのだが、今日だけは何とか乗り切れそうな気がしていた。なんせ、自分には今日から二週間家政婦がついているのだから。
その後ろ楯はAが思っていたよりも心強いもので。心做しか自分のキーボードを打つ手が軽いような気さえしてきたのだ。
そのせいなのか――――
「スマン、中谷!!今日の会議の資料作んの手伝ってくんね!?」
「はい……?」
「あ、いまはいって言った!?助かるわぁ!なんかお前今日調子よさそうだし、すぐ終わんだろ」
そう言って笑うのは顔面が良いと噂の同期。コイツは自分の顔にかなりの自信があるようで、女は自分が頼めばなんでもしてくれると思い込んでいる脳内お花畑野郎だった。
Aの課長の次に嫌いな男。しかし、コイツの言うことを聞かなければ会社で立場が悪くなることは目に見えていた。
顔面偏差値というのは、仕事にも影響してくるのだ。彼の職場での人気を考えるとAに拒否権は無くなる。
Aがたまたま見かけたドラマで、お前に拒否権なんかないというセリフがあったが。あれにかなりの不快感を覚えたのは多分そのせいだ。
「これって、昨日までに作っておかなきゃダメな資料じゃなかった?」
念の為に釘を刺すように、そう聞いてみれば。案の定返ってきたのは昨夜ソイツが参加した合コンの話。いいんだよ、お前の武勇伝は。聞きたくない。聞きたくない。必死に頭からソイツの存在を消してAはキーボードを叩く
――――あぁ、早く家に帰りたい
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赤羽 - 好きです。最高 (4月12日 23時) (
レス) @page45 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 今まで読んだ作品のなかで一番の作品でした！完結まで書いてくださり、ありがとうございました！ (12月17日 18時) (レス) @page45 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
rin - めっちゃ好きです (9月12日 21時) (レス) @page45 id: 452f9d3433 (このIDを非表示/違反報告)
朝ごはん(プロフ) - 最高です。 (2022年1月10日 1時) (レス) @page45 id: 9242d0adf9 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 素敵なお話で、一気に読んでしまいました！心が温まりました。 (2020年11月5日 21時) (レス) id: 92da2ec8b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴいち | 作成日時：2020年2月10日 23時
