81話:キツネさん ページ35
─── 「お待たせっ！」
朝、7:30。
東京ワールドツリーホテル。
「…ん…」
桜哉は制服ではなく、私服の身軽そうなジャージを着ていた。
約束通りのお迎え。
本人はちゃんと文化祭に来てくれるようだ。
それでまず一安心。
でも、昨日の「また明日」の言葉が一番私は嬉しかった。
何気ない言葉なのに、こんなにも「重み」があると感じたのは初めてだった。
───── 「きぃ♪」
「…ん？」
「…あ？」
謎のそんな動物らしき鳴き声が聞こえ、
私と桜哉は反応した。
「きぃ」？
今どこから…
「きぃ♪」
「…あ…」
見てみると、私の足元には一匹の狐が居た。
色は黒く、ところに白が混じっている。
キツネがいる時点で珍しいのに、この色はさらに珍しい。
「野生かな？かわいい…」
頭をなでようと手を伸ばすと、パシンッと私の手が桜哉に叩かれた。
あ、優しくだから痛くはないんだけどね。
「え」と声を上げると、桜哉は「あ…」と言ってから目線を泳がし、「悪い」と謝った。
どうやら、無意識だったらしい。
「…何やってんすか、椿さん」
そして、露骨に不機嫌な顔と声で目の前の狐にそういった。
って、え……？
椿……さん?
「─── はぁーぁ…面白くない。
なんでバラすのさぁ」
そう言って狐は一回転した。
次に目の前に現れたのは、和服姿の椿さん。
って、えぇっ?!!?
「キツネ姿は初めて、だよネ。
僕は狐が動物の姿なんだ。
ちょっとからかおうと思ったんだけど、流石桜哉。容赦ないね」
口元を着物の裾で隠しながらつまらなそうに桜哉を見る椿さん。
桜哉はそれに対して、呆れた声を漏らしていた。
「当たり前でしょ。あわよくば文化祭について行こうとしたんでしょうけど
雨が降るからやめてください」
バッサリ椿さんにそう言って切り捨てた。
よ、容赦ないな………。
「冗談だヨ。A、桜哉のことよろしくね。それを言いに来たんだ」
「えっ？あ、はい！」
……やっぱり家族思いだ、椿さん。
当の本人は「余計なお世話です」と口を尖らせているけども。
「あ、桜哉♪」
「なんですか」
「─── …♪」
「……っ?!」
椿さんはこっそりと桜哉に耳打ちをしていた。
そして離れた直後、桜哉は驚いた顔をしながら赤面していた。
…？なんで？
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枯凪 - とっても面白いです！更新楽しみにしてますね！ (2016年10月13日 13時) (
レス) id: bf8993edc1 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - 詠斗さん» ありがとうございます！応援も嬉しいです！更新頑張りますっ！ (2016年10月4日 21時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - 優さん» 更新頑張りますっ!! (2016年10月4日 21時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - 猫耳さん» ありがとうございます！更新は本当に浮かび次第ほいほいほいっと書いてぽちっ☆になってるので更新量が激しいですが頑張ります！ (2016年10月4日 21時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - ロウレスちゃんでーーす！！さん» ありがとうございます！相変わらずの大量更新か亀更新ですが頑張ります！ (2016年10月4日 21時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月宮 空松 | 作成日時：2016年10月1日 13時
