27話:嘘吐き友達は吸血鬼。 ページ28
─── 「…なんでっ、カラオケなんて行っちゃうかなぁ…？」
桜哉がそう言って私の目をとらえた。
その表情はなんとも言えない複雑な顔で。
「……はぁ、ごめん。俺は吸血鬼だよ…」
間を空けて、桜哉は私の質問に答えてくれた。
……え？
桜哉が、吸血鬼 ────…？
「真昼とは本当は幼馴染でもないし、親友でもない…」
淡々と何かを決意したように語り始めた桜哉。
その姿を、椿さんとベルキアは何処か心配そうに見ていた。
「俺は、真昼に嘘を植え付けて小さい頃から一緒に居たって思い込ませたんだ」
その、淡々と語られていく桜哉の言葉たちを私はしっかりと耳に入れてく。
「だから、俺とお前も嘘で出来た関係の友達で…」
でも、ごめん桜哉。
その言葉だけは見過ごすことはできないや。
「何言ってんの？今でも友達だけど」
「……はっ？」
「嘘の友達？そんなわけないじゃん」
「…いやっ…、あのな？
俺は吸血鬼で、学校に潜入しててっ、監視とか色々っ」
「はぁーい。桜哉ストップ。自分にまで嘘を吐かない」
だって、友達は友達じゃん。
吸血鬼だからとか、今までが嘘だからとか、そんなの関係ない。
潜入？監視？
それでも桜哉、楽しそうに笑ってたじゃん。
楽しかったんでしょ？
ならそれでいいじゃん。
椿さんの言う桜哉が自分に吐いた嘘は何か分からないけど。
「ッ…」
「ごめんね。キミ、桜哉の友達だったんだ？いつも桜哉がお世話になってるね。仲良くしてくれてありがとう」
「え…いえ」
椿さんの今までの雰囲気がガラリと変わり、優しい笑みを浮かべて私にそう言ってきた。
そう言えば、椿さんと桜哉の関係って…？
結局、学校で言っていたことは嘘になり、
桜哉は椿さんを知ってるみたいだし。
「桜哉は実はあんなハイテンションなキャラじゃないんだ。結構頑張って作ってた方なんだけどね。彼は本人談のように嘘吐きでね」
「嘘吐きのクセに嘘が大嫌いなんだ」
─── 「だから彼には「嘘」を吐かないでくれるかな」
椿さんは私の目を捉えてそう言った。
優しい言い方。
優しい声。
なのに妙に威圧がある。
つい頷いてしまいそうになるが、我慢する。
だって、それはつまり。
優しい言葉をかけて彼の心を惑わせるな、ということだ。
「私は、桜哉の友達ですっ」
いくら椿さんが恐くても
それは引けないんだ。
大事な友達だから。
─── 桜哉…。
ずっと友達だよ？
28話:物好き、お人好し、バカ、イケメン。→←26話:「嘘」と「偽善」と「偶然」と「必然」。
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令和おばさん - って言ってましたね、失礼しました (2019年7月5日 8時) (
レス) id: e35bf259f9 (このIDを非表示/違反報告)
令和おばさん - 突然失礼します！八方美人とは、誰にでも良い顔をするような人のことを言うのであまり良い意味ではありませんよ.....！ (2019年7月2日 19時) (レス) id: e35bf259f9 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - きな粉もちさん» いえいえ。33話ですね、畏まりました。一人からでも意見がもらえるのは嬉しいことです。寧ろありがとうございます。こちらとしてもそういった声を頂いて見やすく改善していきたいので自分を責めないでください。貴重なご意見本当にありがとうございます (2017年1月26日 17時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 33、あたりでしょうか。ですが本当に一人の意見なので聞き入れてもらわなくて大丈夫ですよ？何も考えずにコメントしたことを深く反省しております。申し訳ございません。 (2017年1月26日 13時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - きな粉もちさん» 連続ですみません。因みに、何話あたりの挿絵から見にくくなっているでしょうか…？ (2017年1月25日 22時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月宮 空松 | 作成日時：2016年9月25日 19時
