13話:子供が憧れているような【正義のヒーロー】 ページ14
──── 状況を漸く把握した時には、すでに真昼は飛び出していた。
私だって人間だ。
よくよく考えれば、友達が襲われたのだ。
目の前には変人で
通り魔だと噂される吸血鬼。
バイト先では和服美人に。
学校では男友達の桜哉に。
二度も忠告されたのに、目の前に現れてしまった。
怖い、恐い、コワイ。
恐怖で身体が動かない
思考が停止する。
脳が「恐怖」を理解し、全ての動きを封じられるくらいなら。
そうなる前に、いっそ私から。
何もかもを嘘だと信じ、その空気をぶち壊そうじゃないか。
シリアスを。
ぶち壊して。
空気を。
ぶち壊して。
……恐いし。
面倒だし
どうせ私が出ても何もできない
他の人がやってくれる
私は何も見ていない
知らない、知らない、知らない。
あぁ、そうだ。
いつだって人間は
──── 面倒を嫌う生き物だ。
「クロ…って言ったっけ?真昼ってお人好しだからさ、怖いもの知らず…とはちょっと違うけど…面倒事に飛び込むんだよ。
………うん、そうだ。
いつだって、真昼は…
──── カッコいいんだ」
そこで初めて、私は「クロ」を瞳に捉え、会話をした。
「………向き合えねー」
目を合わせた時、クロはクマが酷い目を見開いていた。
そしてクロは一言、そう呟いてから真昼の元へと飛び出して行った。
──── 「誰か」
「誰か」「誰か」。
みんな、代わりの「誰か」を探してる。
でも、その「誰か」は
結局なんらかの理由で決まり、解決する。
信じたくなかった。
認めたくなかった。
信じたら、認めたら、
私は人ではなくなる。
頭のおかしい人に、
精神のおかしい人に、
なってしまう。
日常が、非日常へと変わってく。
でも。
─── 信じてみようじゃん、吸血鬼。
私だって、面倒事を嫌う人間様だけど。
「誰か」になることだって憧れているんだ。
そう、いつだって人間は
【正義のヒーロー】になりたいんだ。
小さな子供が瞳を輝かせ、「ぼく、おおきくなったらみんなをたすけるヒーローになるの!」と言っているような感覚で。
──── 私も、
捨ててしまったその憧れを
もう一度輝かせたい。
私も立ち上がって、
今目の前で起きていることを、
現実だと思うために。
見るために、真昼とクロの方へと向かった。
14話:Welcome、非現実的世界→←12話:誰か、誰か。面倒事は嫌なのだ。
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令和おばさん - って言ってましたね、失礼しました (2019年7月5日 8時) (レス) id: e35bf259f9 (このIDを非表示/違反報告)
令和おばさん - 突然失礼します!八方美人とは、誰にでも良い顔をするような人のことを言うのであまり良い意味ではありませんよ.....! (2019年7月2日 19時) (レス) id: e35bf259f9 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - きな粉もちさん» いえいえ。33話ですね、畏まりました。一人からでも意見がもらえるのは嬉しいことです。寧ろありがとうございます。こちらとしてもそういった声を頂いて見やすく改善していきたいので自分を責めないでください。貴重なご意見本当にありがとうございます (2017年1月26日 17時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 33、あたりでしょうか。ですが本当に一人の意見なので聞き入れてもらわなくて大丈夫ですよ?何も考えずにコメントしたことを深く反省しております。申し訳ございません。 (2017年1月26日 13時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 空松(プロフ) - きな粉もちさん» 連続ですみません。因みに、何話あたりの挿絵から見にくくなっているでしょうか…? (2017年1月25日 22時) (レス) id: 968c8c0988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月宮 空松 | 作成日時:2016年9月25日 19時