第百二十八話 ページ41
「…？」
ふと、私の背丈より低い本棚。その上に、ひとつの写真たてと、その近くに以前見たことがある金魚鉢がある。
しかし、やはり中身は水も注がれていない空だ。
そして不思議な事に、写真たては伏せられていた。まるで、その写真を見たくないと云っているように。
「(何故……)」
中身が気になり、失礼だとは思いながらもその写真たてに手を伸ばす。
縁に触れ、あげようとすると_________
色「_________Aさん。」
「…！」
写真たてに触れていた右手が、誰かの手に優しく握られる。
見れば、いつのまにか目の前に昴さんが居た。
色「……それは見ないで下さい。」
座っていた筈の彼が、まるで瞬間移動したように目の前に居たことに驚く。
そしてそのまま一歩さがれば、バランスを崩し、彼と一緒に床に倒れこむ。
色「わっ…」
「痛っ…」
夢の中なのに痛みがある。その事にも驚き、更に痛みが増した気がした。
色「いたた…Aさん、大丈夫ですか？」
「ええ、まぁ…あの、昴さん。あの写真は？」
色「……嗚呼、」
顔を少し後ろに向け、写真たてを見つめる。が、直ぐに興味がないといった様子で目を逸らす。
色「気にしないで下さい。その…」
「…？」
色「…見たく、ないんです。」
私を下に敷いたまま、らしくない顔を見せる昴さん。やはり顔色が悪い。
半身を起こし、額に触れる。突然の事で、彼は目を微かに開いた。
「…ふむ、熱はないですね。」
すると彼はフッと笑う。そして額に置いた私の手を掴むと、そのままその手を引いて抱きしめた。
「っと…あの…どうしました？」
色「…実はちょっと、嫌な事を思い出していたんです。」
「はぁ…」
彼は背中に手を回し、首もとに顔を寄せる。彼はたまに、子供みたいな行動を取る。
それには未だ慣れない。そう思いつつ、背中を撫でる。
色「……ねぇ、Aさん。」
「…何です？」
唇が重なりそうな距離で彼が囁く。そして目を伏せて、言葉を紡いだ。
色「_________元の世界に帰れると云ったら、どうします？」
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グロリアス(プロフ) - シノンさん» コメントありがとうございます！そう言ってくれて嬉しいです！ (2018年6月6日 19時) (
レス) id: d08f55f347 (このIDを非表示/違反報告)
シノン - イラストとても上手いです！ (2018年6月1日 16時) (レス) id: 54e5a78be6 (このIDを非表示/違反報告)
グロリアス(プロフ) - シノンさん» コメントありがとうございます！更新遅いかもしれませんが、頑張ります…！(・ω・´) (2018年5月3日 14時) (レス) id: d08f55f347 (このIDを非表示/違反報告)
シノン - 面白いです。更新頑張ってください！ (2018年5月2日 17時) (レス) id: 54e5a78be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：グロリアス
| 作成日時：2018年4月28日 11時
