第百十二話 ページ24
無機質な声が静かに操舵室に響く。その声の主が判ると、中島さんは身を乗り出した。
敦「この声…鏡花ちゃん!?」
泉「そちらの状況は聞いた。白鯨の再浮上は無理でも、大質量で無理矢理叩き落とせば街に届く前に墜落させられる。…この無人機を衝突させる。」
提案を聞いて彼はホッとする。老紳士に脱出器具の準備を頼み、再び泉さんに話しかけた。
敦「鏡花ちゃん、君も疾く脱出するんだ。」
泉「_________無理。」
予想外の返事に「……え?」と声を漏らした中島さん。
泉さんは足首を鎖で繋がれており、脱出装置のある部屋までいけないと云う。
泉「私のことは、諦めて。」
敦「駄目だ!!そんなの駄目だ!軌道を変えるんだ!」
泉「命を犠牲にして、皆を助ければきっと私は入社試験に合格できる。探偵社員になれる。
…なら、何も惜しくはない。」
淡々と喋る彼女に対して焦りを隠せない中島さん。彼は私の顔を見ると、叫んだ。
敦「Aさん!Aさんの異能力なら、何とか出来るんじゃ_______」
「……ここまで、巨大な白鯨を今の私一人ではどうしようも出来ません。」
敦「…っ、ならせめて鏡花ちゃんだけでも!」
「彼女とは離れています。仮に鎖を切り、逃げれる状態になったとしても、泉さんに"脱出する"という意思がない限り、それは意味を成しません。」
絶望に顔を歪ませる彼。老紳士が「突っ込んでくる!行くぞ!」と促した。見れば無人機が直ぐそこまで迫ってきている。
芥川さんは中島さんの首もとを掴み、走り出す。私のお腹には彼の外套が巻きつき、中島さん同様引っ張られた。
「…!芥川さん…!」
敦「放せ!鏡花ちゃん、聞いてくれ!!」
泉「ありがとう……______ごめんなさい。」
嫌な音をたて、無人機が白鯨に突っ込んだ。その時点で私達はパラシュートをつけて、脱出していた。
そしてそのまま着水。白鯨は遠い場所で海に墜落していた。街にギリギリといったところだった。
敦「そんな…如何して彼女が…如何して…」
老紳士に担がれた中島さんは呪文のようにぶつぶつと呟き出す。私は芥川さんの外套から解放され、地面に膝をついた。
咳こめば、掌に血がベットリと張り付いていた。どうやら、吐血してしまったらしい。
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グロリアス(プロフ) - シノンさん» コメントありがとうございます!そう言ってくれて嬉しいです! (2018年6月6日 19時) (レス) id: d08f55f347 (このIDを非表示/違反報告)
シノン - イラストとても上手いです! (2018年6月1日 16時) (レス) id: 54e5a78be6 (このIDを非表示/違反報告)
グロリアス(プロフ) - シノンさん» コメントありがとうございます!更新遅いかもしれませんが、頑張ります…!(・ω・´) (2018年5月3日 14時) (レス) id: d08f55f347 (このIDを非表示/違反報告)
シノン - 面白いです。更新頑張ってください! (2018年5月2日 17時) (レス) id: 54e5a78be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グロリアス | 作成日時:2018年4月28日 11時