違います居候です。 その2 【ブルーロック】

27.始まり ページ8

SIDE：A

(……成る程ね)

見たところ、チームZは11番を中心に点を稼ぐ体制。

45分という短い時間の中で、それが果たして良いと言えるのかどうか……。


『……!?』


10番が……11番のボールを奪った……!!?

続けて、9番も10番のボールを奪う。

チームZ内でもどんどんボールの奪い合いが繰り広げられ、それはチームXにも伝染した。

(な、何これ……!!こんなの、サッカーじゃないみたい!!)

そのとき。


『ッ!!?』


突如として現れた、戦場(フィールド)の命運を握る人物。

チームXの10番だった。

流れるようにチームZを躱し、精密なコントロールでシュートを放つ。


『だ、誰……!!?』


慌ててタブレットを開き、選手一覧を確認する。

肉弾戦も物ともしないフィジカル、威力もコントロールも申し分ないキック力、圧倒的存在感。

どれもこれも引けを取らない、自分絶対主義の王様(キング)。


「いいか。覚えとけ、下手糞どもが。俺にとってボールは友達でもなんでもなく……俺を輝かせる
　ためのただの球体下僕だ。ピッチの上じゃあ俺がキングだ」


(完ッ璧……!!)

素晴らしいテクニック。味方に高揚を、敵に絶望を味わわせるプレー。


(これが王様……)


『馬狼……照英……!!!』


チームXが湧き上がる中、チームZは仲間割れしていた。


《チームZ、試合を再開しなさい》


そう促され、再び試合が始まった。

(さて、どうなるか……)

あの調子だと、私の予想通りなら多分……。


「理解したぜ、“ブルーロック”1次セレクション! 勝とうが負けようが知ったこっちゃねぇ!
　これは己の得点能力だけを追求する戦いだぁ!!」


……やっぱり。

チームZ同士でまたボールの奪い合いだ。


『学習しないなぁ、チームZ……』


せっかく王様(馬狼先輩)が良い手本を見せてくれたのに。

(0を1にするサッカー……すごいなぁ、絵心さん)

きっと、最初はこうなることを見越してたんだろう。

これからどうなるのか、どう成長していくのか……。

それはこの人たち次第、か……。

チームZが取り合いをしている中、再び馬狼先輩にボールが移ってしまった。

チームZは全員で馬狼先輩にかかっていく。

(あ、駄目……周り見えてない……!!)

もし少しでも理性が残っていたならば、1人に全員が行けばどうなるかは想像ついたはずだ。

馬狼先輩を自由にさせると突破されるけれど、馬狼先輩ににマークが集中したら他の人が
自由になるということに。

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