違います居候です。 その2 【ブルーロック】

59.あでぃしょなる・たいむ！ with 蘭世 ページ49

区切りはついたんですけど、余ってたので。

＿＿＿＿＿
SIDE：A

『わ、懐かし〜!!』


1ページずつ丁寧にめくっては、懐かしさと微笑ましさに顔が緩む。

私が見ているのは幼少期の写真が詰まってるアルバム。

あれはあのとき、これはこのとき。

そんなことを考えては自然と笑みが零れた。


「……ん、A?」

『!?』


今は食堂だけど、時間的には夜だから選手は寝ていると思ったのに。

迂闊だった、と後悔しそうになり＿＿＿＿＿その考えは秒で捨てた。


『あ、蘭世!!』

「久しぶ、り……」

『?』


何時もは真顔でも少し雰囲気を柔らかくして近づいてくれるのに、今日は違う。

一瞬だけ雰囲気が柔らかくなったけど、すぐ険しい表情になってしまったのだ。


「……ディスタンス、ディスタンス」


あぁ、と思った。

きっと、先の騒動を配慮してだろう。

“怖いなら怖いと、嫌なら嫌だと、ちゃんと言って下さい。伝わる物も伝わりませんよ”

一揮に言われた言葉が蘇る。

たぶん、逆も然りなんだろう。

なら……。


『大丈夫だよ、蘭世』


驚き固まる蘭世に、にっこりと笑って言う。


『私なら、もう大丈夫』

「! ……そう、か」


蘭世はいそいそと近づいてくると、私の隣に腰を下ろした。


「で、それは何だ?」

『これ? アルバムだよ。出てきたからって、お母さんが送ってくれたの』

「送る……って、ブルーロックに?」

『そう! びっくりしたよ〜』

「驚愕、驚愕」


見て良いか?と聞く蘭世に勿論だよと頷く。

蘭世は楽しそうにアルバムを覗き込んだ。


「これはどこだ?」

『裏山。秋には栗拾いができるんだよ』

「ここは……畑?」

『んーと……大根とじゃがいもの畑、かな? 虫とか猪とかいっぱいいるよ〜ここ』

「猪……大丈夫なのか??????」

『大丈夫でっせ〜』

「……お。これにはAがいるな」

『わぁ、懐かし〜!!これ友達と麓の夏祭りに行ったときのやつだ!』

「……ん、男子?」

『幼馴染みだよ! ずっと仲が良くてね……』


それから、蘭世といっぱい話した。

幼馴染みや友達のこと、叔父さんのこと。

蘭世はずっと楽しそうに聞いてくれた。


『……やばっ、話しすぎた……!!』


ごめんね、と謝る。

蘭世のチームは全試合終わったけど、流石にこれ以上付き合わせるのは申し訳ない。


「いや、構わない。俺も聞けて楽しかった」

『そ、そうかな』

「あぁ。それに、明日にはチームメイト皆がいなくなる。明日が少し憂鬱だった」

『!』

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