52.そっくり ページ41
SIDE:A
『いただきます』
手を合わせて呟くように言う。
現在、朝の5時半くらい。
早くから朝食を食べる人は、棟内にいない。
絵心さん曰く、朝ごはんの中に昨日の騒動の話をするらしいけど。
(聞いてくれるかなー……)
うーん、と唸りながらスープを啜る。
あ、美味しい。
『……』
五百崎さんは
女子でこんなに短い人、ほぼいないし。
「……なんや、ずいぶん早い朝食やね」
『!? けほっ、』
「か、かんにんな? 大丈夫……?」
「だ、大丈夫_____けほっ」
涙が滲む視界で捉えられたのは、水色の髪。
この髪色は氷織さんかなと思いながら貰った水を流し込む。
『ありがとうございます、助かりました』
「構へんよ。僕から話しかけたしな」
にこり。
そう穏やかに笑う氷織さんを見て_____ふと違和感を感じた。
(……? どこかで、見覚えが……)
彼の髪型。何かに似ている気がする。
何に_____
「『あ』」
2人して気づいた。
『私と、』
「僕と、」
「『そっくり……』」
彼もマッシュルームカットのような髪型。
なんと、髪色以外はほぼ同じなのだ。
「……こんなこと、あるんやね……」
『そう、ですね……』
お互い顔を見合わせて、どちらからともなく笑い出した。
私は豪快に、彼は上品に。
一頻り笑い、出てきた涙を拭う。
『なんかすごい笑ったんだけど、あははっ』
「ふふっ、せやね」
すごい。
今まで怖かったはずなのにそれが感じない。
「……せや。名前、なんて言うん?」
『依天A。氷織さんの後輩です!』
「そうなん?」
だから敬語なんやね、と氷織さんが納得したように言った。
「じゃあ、先輩命令してええ?」
『わ、私にできることなら……』
「じゃあ_____名前で呼んでや」
『……えっ?』
「あかん?」
ゔっ、上目遣いはずるい・・・・・・!!
『・・・・・・よ、ぅ、さん……』
「聞こえへんなぁ?」
い、意地悪い……!!!!!
確信犯だ絶対!!!!
『〜〜〜〜〜っ羊!!!さん!!!』
「はい、よくできました」
ぐっ、何故か悪い気がしない……!!
「ワガママ聞いてくれてありがとおな。それじゃ」
『は、はい!』
氷織さんは可愛らしく笑い←、去っていった。
(これからも、羊さんって呼んでいいかな……)
『ッ!?』
何を考えているんだろう、私。
204人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして! 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです!!これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど・・・確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか?いきなりすみません。更新頑張ってください! (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:使い古した絡繰り人形 | 作成日時:2023年9月18日 11時