51.朝 ページ40
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Aは、ゆっくりと目を開けた。
昨日、保冷剤を持ってくるの忘れたな……と働かない頭でぼんやりと考える。
今日はアンリと絵心の計らいで、学校を休むことにしている。
ありがたい限りだ。
『……勉強、しないと』
そういえば、最近ずっとサボっている。
忙しかったからだけど、だからと言って何もやらなくて良い理由にはならない。
……と、母がよく言っていたのだが。
(……お母さん)
近頃、L◯NEすらやってない。
スマホを開く余裕もあんまりなかった。
昨日の電話の前に見とけば良かったかな、と思いながらアプリを見る。と。
『……何この通知の数……』
アプリの右上には99⁺という文字。
嫌な予感を感じながらアプリを開く。
その途端。
『……うーわ……』
1000までも超えるメッセージの数が所狭しと並んでいた。
本当はありがたいと涙ぐむところだろうが、生憎涙は枯らしてしまった。
Aは小さく溜息をつく。
心配性な両親も相変わらずだが、心配ばかりかけさせる親不孝者な自分にも呆れたのだ。
『……ご飯』
メッセージを読むことすらも諦め、現実逃避するかのように食堂へふらふらと歩いた。
_____
Aは、
これから少しずつ、前の部屋から私物を運び出して行く予定である。
(……そういえば、こんなにバッサリ切るの何気に初めてかも)
Aは艶のある長い髪が自慢だった。
ブルーロックに来てから髪型は雑になったがヘアケアは怠ることはなかった。
(まさかこんな形で切ることになるなんて)
東京だ学校だと大はしゃぎしていたあの頃は想像すらしなかった。
(……ちょっと、嫌、かも)
昨晩、五百崎と共に自分の髪を整えた。
大きな鏡の前で切ってはみたものの、自分の髪だからだろう、これが案外難しい。
散々苦戦した結果、マッシュルームカットになった。
元々伸びていた前髪は横流し。
あのテンションで前髪も切っていたら恐らく大惨事じゃすまなかっただろう。
(……これからは、これで過ごそう)
そう固く決意した
フードを被り、髪を隠したのである。
Aは髪が隠れたことに安堵しつつ朝食を取った。
今日の朝食は、体に良いにゅうめん。
かきたまスープに入っている暖かい素麺が、Aの食欲を誘った。
(きっと、色々配慮してくれたんだろうな)
そう考えて、今日初の笑みをこぼした。
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使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして! 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです!!これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど・・・確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか?いきなりすみません。更新頑張ってください! (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:使い古した絡繰り人形 | 作成日時:2023年9月18日 11時