49.天才だから ページ38
SIDE:A
「待ってくれ! もう少し話を……!!」
「ねぇレオ、何でこの人こんな必死なの?」
「勝つためだろ?」
「ふーん……。頑張んなきゃ勝てないなんて弱いヤツってめんどくさいね」
『……流石、“天才”』
こんな言葉、
「俺なら辞めちゃうけどなぁ……ねぇレオ、負けてもやりたい程サッカーって面白い?」
その言葉に圧倒される、傷だらけの交渉人。
あの人はいけ好かないけど、少し同情する。
現に、私だって息を呑むしかないから。
そのときだった。
「……おい、待てよ」
聞き覚えがある声。
少し怒気を含んでいるけど、聞き間違う筈のない声。
『……潔さん……』
凪さんを指差しながら、大声で言った。
「サッカー、舐めんな!!!!!!」
「……」
「だから誰だてめぇ」
凪さんが微塵も興味無さそうな視線を向け、御影先輩が少し苛ついたようにせっつく。
「チームZ、潔世一。お前らに勝つ人間だ!」
(……勝つ、か)
そう言い切れるのはすごいことだと思う。
両者が睨み合う中、私は自分のご飯を取り、こそっとその場を離れた。
_____
『……ということで戻ってきました』
「ああいう話をやったそばから選手と関わることができるその度胸は認めてやる」
『ありがとうございまーす』
「褒めてないからな」
まぁまぁ……とアンリさんが苦笑いで言う。
ご飯を持ちモニタールームに行くと、先程の様子をバッチリ見られていたようで、簡単な
お説教を食らってしまった。
口を尖らせながら
お盆の上の2つのおにぎりはまだ暖かい。
絵心さんは溜息をつくと、
「まぁ、帰ってくると判断したのは正しい」
と言った。
「いきなり多くの男が来れば逃げたくもなるだろう」
『……気づいてたの』
「叔父だからな」
『理由になってないよ……』
おにぎりの上に涙が落ちる。
御影先輩たち3人という少人数でもまだ少し恐怖を感じた。
チームZを前にすると更にそれが膨らんだ。
ふいに背中に温かみを感じ、顔を上げると、アンリさんが寂しそうな顔で擦っていた。
あのとき、ちゃんと笑えていただろうか。
きちんと会話できていただろうか。
さも“何もありませんでしたよ”という感じを出しても、恐怖はそう簡単に拭えるものじゃない。
近くに
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使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして! 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです!!これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど・・・確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか?いきなりすみません。更新頑張ってください! (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:使い古した絡繰り人形 | 作成日時:2023年9月18日 11時