43.取り敢えず ページ30
SIDE：千切
「うおらぁ!!!!」
潔のアツいプレーに感化された俺は走った。
もう良い。
壊れるなら壊れろと。
久々に感じるあの快感、特有の涼しさ。
思い切り走れた後は清々しいなんて言葉じゃ足りないほどの心地良さを感じた。
「にしてもスゴかったよな千切!」
「良い武器持ってんなら言えよお前!」
「悪いって」
もう1度、夢を目指そう。俺はそう決めた。
(……ん?)
バタバタと騒がしい音が聞こえる。
軽い気でその足音が聞こえる曲がり角の奥を見た。
「……!」
前を走ってる女子は髪が雑に切られている。
ボサボサだし、左右の長さも違った。
その後ろには男子が2人……。
なんとなくで状況を察した俺は、その女子が俺の横を通り過ぎるその瞬間に腕を掴んだ。
転びかけたその子をポス、と受け止め、壁の影に引っ込む。
(大声を出されたら一瞬でバレる……!!)
そう思い、すぐさま手で口を覆った。
手持ち無沙汰になったもう片方の手は女子の頭に乗せる。
肩で息をしてるその子を落ち着かせるようにゆっくりと頭を撫でた。
目線を壁の外にやると、俺の存在に気づいた感じはない。
悪態をつきつつ違うところへ走っていくその2人を見送り、安堵の息を漏らした。
「いきなり腕掴んで悪い。大丈＿＿＿＿え」
声を殺しながら大粒の涙で廊下を濡らすその女子を見て、バッと手を放した。
「悪い!!大丈夫か!?」
『だ……だぃじょぶです……』
「大丈夫なら泣かねぇよ……」
目ぇ腫れるだろうなと思いながら、ボディースーツで涙を優しく拭う。
「よしよし。もう泣くな〜……」
姉ちゃんがいるとは言っても泣いてる女子を慰めたことはない。
取り敢えず頭を撫でると、その子は安心したように笑った。
『ありがとうございま……あ』
「?」
『ひ、千切……さん……?』
「え」
その女子は、大きな目を瞳が落ちそうなほど見開いた。
てか今、“ひ”っつったよな???
『その、千切さんには先日のみならず今回も多大なご迷惑を……』
「先日……?」
少し考えて、1つ思い当たることがあった。
「前に会った、姉ちゃんの友達の……」
『い、依天Aです』
「A、な」
そういやそんなこともあったな。
好都合だ。
また会ったら言いたいことがあったから。
「……俺、もう1回夢を追いかけるよ」
『……!』
「だから、見てろよ。世界一は俺だ!」
『はい、期待してます』
Aは、嬉しそうに顔を綻ばせた。
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使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません･･･。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (
レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして！ 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです！！これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど･･･確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか？いきなりすみません。更新頑張ってください！ (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：使い古した絡繰り人形 | 作成日時：2023年9月18日 11時
