41.どこ ページ26
SIDE:A
『お待たせしました咲さん! いや〜、シュークリームがなかなか見つかんなくて……
…………あれ?』
シュークリームが入った袋とペットボトルの冷たいミルクティーを持って食堂を出ると、
『咲……さん……?』
冷や汗が背中を伝う。
頭を鈍器で殴られたような感覚。
立ってもいられないほどの衝撃。
_____もしかして。
思いついた最悪の考えを拭い去ろうとしたが、それを裏付けるものが見つかってしまった。
『これ……』
廊下の床に落ちていたのは、前髪を切ってもらいたいからと渡しておいた鋏。
ここにこれが投げ出されているということは、咲さんは……
『咲さん……!!!』
_____
SIDE:咲
「やめっ……」
「うるせぇ!」
「いっ!」
勢いよく殴られ、壁に頭を強く打ち付ける。
目の前がチカチカして、時間差で痛みもやってきて、年甲斐もなく泣きそうになってしまった。
Aちゃんを待っていたら、2人の選手と出くわしてしまった。
取り敢えず会釈をしたら、急に馴れ馴れしく話しかけられた。
怖かった。
その場から離れようとしたら、手首を掴まれ、人気のないところへ連れて行かれた。
(ここ……ロッカールーム?)
危機感が襲っているのは分かるのに、足が竦んで動かない。
恐怖で酸素も取り込めず、息苦しく感じる。
冷や汗をかいて、あまりの気持ち悪さに気が遠くなりそうだ。
生憎、ここには私と選手たちの3人しかいない。
「声は出すなよぉ?」
「こんなとこに女がいるから悪いだよ」
「っひ……」
怖い。
気持ち悪い。
「!!」
乱暴に服を脱がされる。
襲ってくる恐怖と羞恥心に涙が溜まった。
「っいや……!」
「うるせぇ!!大人しくしてれば優しくしてやっからよ!」
誰か、
「うわ、めっちゃ良いカラダしてんじゃん」
抵抗も虚しく、下着に手をかけられる。
必死に腕で下着を隠した。
(誰か、)
誰か、
「襲って下さいって言ってるようなもんだな」
選手のうちの1人が下卑た笑いを浮かべ、吐き気を催す。
誰か。
(誰か、助けて……!!)
『咲さん!!!!』
「!」
焦ったような声と共に、見慣れた綺麗な顔が目に映る。
あぁ、不甲斐ないな。
こんな状況下で、3つも下の女の子に助けてもらうなんて。
でも、安心したのも確かで。
情けなくも、小さい声で彼女の名前を呼んだ。
「A……ちゃん……」
.
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使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして! 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです!!これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど・・・確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか?いきなりすみません。更新頑張ってください! (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:使い古した絡繰り人形 | 作成日時:2023年9月18日 11時