第六章 ページ7
「そう怒るな」と男――裕貴さんは言った。
この人が、葵さんとオーナーの父親なのか。
年齢は50をとうに超えているのだろうが、その風貌はまだ30代後半だと嘘をついてもバレはしないだろう。
こつん、と革靴を鳴らしてこちらに歩み寄ってきた裕貴さんは、「武器を置いて」とオーナーに指示した。
「久々の家族会談ができないだろ？
ここに葵がいないのは残念だけどね」
「お前がそうしたんだろ」
怒りに満ちた声でそう言うオーナー。
「そうだね」と裕貴さんは落ち着いたように返す。
「良くしゃべる子になっていたよ。
不思議なものだね、昔は人に興味を示さない子だったのに。
興味を示したとしても、そう依存はしない子だったかなぁ。
だけど今回は、フィルみたいに怒って、まくし立てて、俺も驚いたよ」
すい、と視線が俺のほうに向く。
「……何したの、お兄さん」
乾いた声に、ぞくりとした。
「ずっと君のことを話していたよ。
「俺には関わるな」って、「あいつとの時間を邪魔するな、糞親父」ってね。
「一生かかっても手放したくない人」だなんて臭い言葉並べてさ。
でもね、これは上からの指令だからこうするしかないんだよ」
「分かって？」と彼の父親は言う。
それにオーナーが噛みついた。
「どういうことだ、上からの命令って。
兄貴を産んだのも、俺を産んだのも、今までの行動も全部！
……全部、父親としての感情じゃないのか」
「……フィル」
柔らかな声。
「お前の母親はいい人だったよ。
女オーナーとしてカジノを切り盛りする姿は素晴らしかった。
それでありながら、日々の生活もきちんとしてくれるところも。
……だがなぁ、あのカジノも俺に……違うな、俺たちにとっては駒の一つだったんだ。
葵のせいで多少狂ったがな。
俺とお前の母親とに愛なんてなかったよ。
お前の母親の一方通行でしかなかったんだ」
ぎり、と歯を食いしばる音が聞こえた。
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おむらいす星人(空弥)(プロフ) - ナッキーさん» 読んでくださる方が一人でもいらっしゃるのなら、書こうかな、とも思えるようになりました。感謝してます。非常に短い間ではありましたが、ナッキーさんのお陰で更新停止を解こうかと思ってますw長文すみません。また良ければこの作品を覗いてくださると幸いです (2019年5月13日 21時) (
レス) id: 7c5acb30f8 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす星人(空弥)(プロフ) - ナッキーさん» 返信遅くなりましたが返させて頂きます。正直この作品は私自身も大好きだったのでそう言っていただけただけでも嬉しく思います。上の文章を書いているとき、本当に不安でしかたがなくて、この作品の需要はないものだと思うくらいにしんどかったので……→ (2019年5月13日 21時) (レス) id: 7c5acb30f8 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいす星人(空弥)(プロフ) - 碧依さん» 遅くなりましたがコメントありがとうございます！……戻ってきたい気持ちと書かない方がいい気持ちとが半分半分といった状態ですが、そう言っていただけて気持ちが楽になりました。本当にありがとうございます (2019年5月13日 21時) (レス) id: 7c5acb30f8 (このIDを非表示/違反報告)
ナッキー(プロフ) - 初めまして、私はこの作品を頭から読んでいてとても好きでした。最近だと、男主作品を読むことがかなり多くなりました。ですが、作者の執筆意欲を下げる行為に悲しくなりました。もっとこの作品を読んでいたかった私にとっては残念です。空弥さん、更新待ってますからね (2019年5月7日 5時) (レス) id: 105b0be3f0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - そうですか、残念です。平等に評価されるまで此処には戻って来なくていいと思います！空弥さんの作品大好きなので待ってますね。 (2019年4月20日 19時) (携帯から) (レス) id: fa08d6addd (このIDを非表示/違反報告)
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