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第二話 ページ2

黒煙が上がったことに、周りの人も驚いたようにこちらへ集まってきたようだ。

騒めきがすぐそこまで聞こえてくる。

それよりも俺は困惑で頭がおかしくなりそうだった。

何でコウモリに触れたら煙が噴き出すの?何で?

整理のつかない頭でおろおろしていると煙の中から。


一本の腕。


『ひえっ……!?』


びくり、と身体を震わせると、その腕が俺の腰を抱くように掴んだ。

ぐい、と勢いよく引き寄せられ、顔を相手の胸板に押し付ける形になってしまう。

ぱくぱくと口を動かしても声が出ず、困惑と驚きと恐怖が入り混じる。

ぎゅ、と自分の学ランの袖を掴むと、「ふは」と軽く笑うような音がした。

そして。




「しっかり捕まってろ」




耳を震わす低い声。

その声に驚いたのも束の間、その人は思い切り地面を蹴った。

ぐうん、と身体が浮遊する感覚。

まさか空を飛ぼうとしているのか。

黒い煙を抜けたとき、その人の姿が見えた。


裏生地が赤の、真っ黒なマント。

透き通るような白い肌。

ちらりと見える牙と、真っ赤な瞳。


「……説明するから場所を変えるぞ」


俺を抱き上げて空を飛ぶ青年は、感情のこもらない口調で言った。




その人は、近くの路地裏に降り立った。

俺を下して、「ふぅ」と息を吐く。

俺はどくどくと鳴る心臓をそのままに、『あの』と声を掛けた。


『あ、貴方、誰なんですか』

「お前が俺に触れたからだろ」

『い、いや俺が触れたのコウモリ……』


俺がきょろきょろと視線を彷徨わせていると、その人は盛大な溜め息を吐いた。


「だから俺がそれだ」

『え、は、……ええ!?』

「うるせぇ、騒ぐな!」


がっ、と口を手で塞がれた。

もがもがさせている俺に、男は目を閉じて説明を始めた。


「俺はハイル。

食う物が何もなくて飛ぶ気力すらなかった俺は、あそこに倒れてたんだ。

この姿になろうにも体力いるしな。

そしたら、お前が俺に触れた。

まさか触れる人間がいるとは思わなかった、俺も死ぬかと思っってたんたぞ。

でもそのおかげで助かった。




……やっと飯にありつけたんだからなぁ」


男は目を薄く開いて睨むように俺を見ると。

鋭い牙を、俺の首筋に突き立てた。

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血塗れの天使(プロフ) - スッゴく面白いです!!!更新楽しみにしています!!!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: 9249fdbb0e (このIDを非表示/違反報告)
空弥(くーや)???(プロフ) - そうなんだよねぇ、勃((((立ったんだよねぇ。だからフラグ立たないやつをもう一本投げようか考えてるb (2019年2月18日 23時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@変態(プロフ) - なんかフラグ勃((立ったね爆笑 (2019年2月18日 22時) (レス) id: c160c5901c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(くーや)???@にゃん×2計画(プロフ) - 大手裏剣@変態さん» あざーっす(((ワイは18↑には手を付けてないんじゃあ……血を吸わせただけじゃあ……うふふ(合作はプロット書いてるからもうちょっと待ってくれよ〜) (2019年2月12日 22時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣@変態(プロフ) - えっつぃですよ空弥ピーヤ。おいしいれす。 (2019年2月12日 22時) (レス) id: c160c5901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年2月12日 20時

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