Sweet Christmas Day【クリスマス男主集団合作】 (ページ7)

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圭一にだけは、こんな気持ち知られたくなかった。
こんな嫉妬にまみれた醜い感情なんて、知られたらこれまでの信頼関係も、何もかも、失う。

分かっているのに、止まらない。

「俺の気持ち分かって言ってんのかよ、それ」

良く女子の噂で聞く、「茶色くてきれいな目」とか、「透き通った目」なんかじゃない。
こいつの目は、そんなんじゃ、ない。

止めようと思うほど、圭一の目が、駿の心の奥を無理やりこじ開けて、吐き出させようとする。

「気持ち、って」

「才能に恵まれた後輩に、何もかも奪われた先輩の気持ち分かって言ってんのかよ」

息が切れて、ばっと顔を上げた。

本当に、苛ついて仕方ない。
綺麗な顔も、凛とした声も、その目も。
何もかもが。

「…先輩、なんで泣いてるんですか」

胸の奥の、どろどろした所から、途端に熱いものが押し上がってきて、それが形となって頬を伝った。
あつい。苦しい。あつい。
そんな感情ばかりが心を支配して、嗚咽しか出せなくなる。

「言いたいことだけ言って、それって勝手じゃないですか」

手のひらで涙を拭うと、圭一の口元まで手首を引き寄せられ、雫を舐め取られてしまう。

「死ぬ気で頑張って、やっとあんたと同じくらいのタイム出せたと思ったら、部活来なくなるし」

「……は」

「俺はずっとあんたに追いつこうと、頑張ってたのに」

ぱっと顔を上げると、いつもの無関心な瞳じゃなくて、怒りを含んだ瞳と視線が重なった。
そんな目、初めて見た。

「あんたは、本当に自分勝手だ」

真っ直ぐに、駿の目を見て、そう言った。

圭一は、努力なんて毛ほどもしてないと思っていた。
そのセンスと持ち前の才能だけで、自分を追い抜かしたのだと、そう思っていた。
そうなら、まだ駿は報われたのに。

「なんでそんな勝手なやつに、お前は憧れてんだよ」

「…知りません」

そっぽを向いて、不貞腐れた様子で言葉を返す。
圭一は、ちょっと陸上ができるだけの駿なんか、全然興味がないと思っていた。

そんなものは駿の思い込みだった。
圭一は、ずっと駿に追いつこうと、それだけの為に、陸上をしてきたんだ。
それで、駿は、逃げた。

「…ごめん」

自然に、プライドなんか関係なく、出た言葉。

「もうお前から逃げない」

それに、圭一は。ほんの少しだけ。

笑った。

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