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「せ、先輩…明日空いてますか…？」
とうとう、明日に迫ったクリスマス。
『クリスマス…か。』
「よ、予定あったら…全然大丈夫です…。」
『いいよ。』
特別可愛い娘だったわけでもない。
もう忘れよう、と思ってそう言った。悪い言い方をすれば、この子を利用することになる。
「い、良いんですか…！」
すっごい喜んでる。なんか英司に似てる。
『うん、あ、名前なんだっけ。連絡先も交換しよか。』
「はい…！」
数少ない女の子の連絡先。あっても、もう何をしてるかも知らない元カノとか大学生のときから仲が良い友達。
連絡先の交換なんて馴れない俺はその子に教えてもらいながらだった。
『妃奈ちゃんね。ありがと、後で連絡する。』
「お、お願いします！」
妃奈ちゃんが居なくなって、俺はじーっとその連絡先を見つめた。
「へー、今の女の子好きだったんだ。」
ふと、背中から声がする。目を向けるとずっと見てきた髪の色が見える。英司だ。
『…まあな。
…悪いかよ。』
「別にー、おめでとさん。」
『嗚呼。どうも。』
英司は俺の返事を聞くと、デスクに戻って行った。
…ダメだ。また目で追っていた。
『ッ……俺が好きなのはお前だよ。』
.
.
パソコンに向かっていると、ふわりと甘い匂いがした。英司だな、コイツ甘いもの好みだから。
「なぁ、プレゼントやんの。」
『……まぁな。今日買う、英司は買ったのか。』
「まだ。
だから、一緒に買いに行こうぜ。」
『そうだな。』
仕事も終わり、二人スーツ姿で街を歩く。すると、ちらりと雪が見えてきた。
『雪だな。』
「あぁ、めっちゃ寒いし。」
耳を真っ赤にして手に息を吐いて、手を擦り会わせる英司。
自分のマフラーを英司の首に巻いた。
「いいの？」
『そんなに寒いアピールされたらやるしかない。』
英司はぽすっと顔をマフラーに沈めてへらっと笑った。
何だよ、今の顔。クッソ可愛いじゃん。
「…Aの匂いする。」
『俺のだから。』
「うん、ありがと。」
今のは恋人らしかった、と嬉しい半面。もう、こんなことはなくなるという寂しい半面。
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作者名：男主クリスマス合作企画 x他2人 | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2018年11月11日 17時
